転生したら鬼人だった件 5【転スラ】

第198話 ページ9

『うん、エラルド公の言い分は分かった。街道の件はこちらで引き受けても良い。
ただし…』

「ただし？」

『街道上の警備及び宿屋の経営も任せてもらいたい。
当然だけど、それにかかる経費も含めた通行税もいただくことになる。』

「なるほど。それは、当然の要求でしょう。
ただし、その通行税に関しては何年かに1度の交渉権は認めて欲しいものです。」

『ああ分かった。それでいこう。』

「軽っ！」

「まったく、虫の良いやつだ…」

「貴様には言われたくないと言っとるだろう！

では、決まりですな。」


そう言うとエラルドは熱燗をあおった。


まったくこいつらは…


『じゃ、私はこれで。また何かあったら呼んでくれ。』

「ああ、ありがとうな！」




やばい、風呂上がりって眠くなるよね…

瞼重い…リムルは寝なくていいらしいけど私はしっかり睡眠欲あるからな…


私がうつらうつらしていると、


「A様、大丈夫ですか？」


ん、ヴェルか。


『大丈夫ー…』

「…それ絶対大丈夫ではないですよね。」

『起きてる…このあと宴会もあるし…寝るわけにはいかないし……』

「ふふ、こちらを用意させていただいたのですがいかがですか？」

『ん？お茶？』

「はい、新しいのを仕入れましたので。」

『ありがとう、いただきます。』


これは…緑茶…？


『ふふ、懐かしいな。』

「A様？」

『あ、いや。
故郷の味なんだ。2つの故郷の。』


日本とオーガの里。

私の顔に自然と笑みがこぼれる。


「気に入っていただけたのなら良かったです…！
またご用意させていただきますね。」

『ああ、頼む。ありがとうな。』

「いえ。」


そっか、緑茶にはカフェインも多いから眠気覚ましにもなる…

さすがだな、ヴェル。


「A様、宴会の準備が整いました。
…お前もいたのか、ヴェル。」


そう知らせてくれたのはソウエイだ。

おい、お前らこんな時まで…


「ええ。私はA様の秘書ですので。」

「少しでもA様に迷惑をかけてみろ。許さんからな。」

「ご心配なさらず。そんなことは絶対にありませんので！」

「…ふん。」


やっぱ張り合うのね…

こういうのを犬猿の仲って言うんだろうな…


『なぁ、宴会の準備できたんだろ？行っていいか？』

「！はい、では参りましょう。」


私は半無理やり黙らせて宴会会場へ向かった。

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