初恋は白王子 Ⅲ (ページ30)

今日:1 hit、昨日:39 hit、合計:94,823 hit

・ページ30

.

『え？』

思わぬ発言に不意打ちをくらい大きな声が出てしまったがすぐに"そんなわけないじゃん"と返す

以前もギョッとするようなことを言われたことがあった

瑠姫くんの香水が移ってしまった時に汐恩くんにだけバレていたのだ

同じ場所に住んでいるからだろうか

メンバーのことに詳しすぎるだろ

木全)「それ瑠姫くんの好きなブランドだし」

『私も好きなの』

木全)「メンズ物しか扱ってませんよ？」

『...』

木全)「明らかに袖余ってるし、僕これ着てる瑠姫くん見たことあります」

『...たまたまだよ』

木全)「ふーん、まあいいっすよ」

特にそれ以上は反応を示さず、ドアノブに手をかける

でもそれが逆に不気味だ

『本当にたまたまだよ』

木全)「わかってますって、"たまたま"ですもんね？」

わざとその部分を強調して言う

ニコッと笑った顔に恐怖すら覚えた

これは完全に気づいている

木全)「夜時間あります？」

『仕事あとなら』

木全)「よかった！僕もこの後もう1つ撮影あるんで終わったら夕飯行きましょ！」

断って不利になるのは自分というのは重々承知している

既に"何がいいかな"とルンルンでスキップなんかしている彼に少しため息を零した

そのあとは滞りなく撮影も終わり、インタビューでも木全くんが先程のやり取りを言及することはなかった

.