初恋は白王子 Ⅲ (ページ7)

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白岩)「あ、あれ純喜の上着なんだけど昨日Aが借りて来ちゃったから後で返しなよ」

『うわ、昨日めちゃくちゃ寒かったよね...純喜くん風邪ひいてないかな』

白岩)「あいつは風邪ひかないから大丈夫だよ」

『なんでよ』

白岩)「小僧だから」

『何それ...w』

私の顔をまじまじと見る彼にどうしたのか聞けば"別に？"と返される

白岩)「やっと笑ったなって思っただけ」

『え？』

白岩)「ずっと深刻そうな顔してたから」

"こんな感じ"と眉をひそめて見せる彼にまた吹き出してしまった

白岩)「なんかあったの？」

『んー...』

白岩)「大丈夫なんて嘘ついちゃってさ」

『...ごめん』

白岩)「隠される方が心配になるって言ったよね」

『うん』

白岩)「まあいいけど...1人で考え込み過ぎるの、Aの悪い癖だよ」

私の頭を撫で、空いたお皿を片付けてくれた

シンクの前に立つ彼をぼーっと見つめていると"見過ぎ"と笑われる

誰かと一緒に食卓を囲む

短い間だったがこの光景が日常だったことを恋しく感じた

白岩)「そうだ」

思い立ったように玄関へ行くと何かを持ってすぐに戻ってくる

白岩「これ」

『あ』

差し出されたのは我が家の合鍵

渡したままだったことを思い出す

白岩)「返し忘れてた」

『...そうだったね』

合鍵を受け取ると着いていたクマが大きく揺れた

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