【名探偵コナン】落としたそれが在る世界【降谷零】 (ページ33)

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「緑川」

「煩い」

「押しすぎだって」

「…顔か…やべえな、俺、降谷にぶっ飛ばされんじゃないかな…下手したらあいつら全員にボコボコにされるかも」

「ぶっ飛ばされんのはどうせ私だよ」

結局、あれから何度か冷静に話し合いを行った末、降谷が指揮を執り、私は緑川と決して別行動を取らないという条件の下、現場に立った。犯人の逃走ルートに一課が回り込めたのが幸いで恐れていた程、被害は拡大せずに済んだのだが、進路妨害を受けたトレーラーが横滑りし、その先にいた高校生を庇った際、コンビニに突っ込んで顔から流血、そしてそれを押さえて止めているのが緑川というのが現在の大まかな状況だ。大したことはないのだが、顔という隠せない場所なのが厄介。指揮を執っている降谷に隠せるはずもなく、犯人確保の無線を聞いてから一時間も経たない内に私も強制的に病院送り。

「折れてるね」

「……動かせます」

「トレーラーにぶつかったのに今回は運が良かったのかな…この程度で済んでいるんだから」

「あの、あまり大袈裟にしないで頂けると助かるのですが」

「それは無理な相談だ」

もう私のお願いなんてどうせ聞いてはくれない。それどころか、君の基準ではそうでなくてもこれは充分大怪我の分類なんだからね、と軽く怒られてしまった。いつものことだが、少し反省。でもまあ確かに、トレーラーに潰されてしまわなくてラッキーだったかもしれないな。

怪我の処置プラス怪我をする度に精密検査をする約束をしている為、警察庁に戻れたのは翌日になってしまった。待ち構えていた降谷には正直に折れたと話し、緑川にも溜息を吐かれたので流石に肩身が狭くなり、さっさと報告書を書き終えた。その直後、降谷に担がれ何故か私は自宅に向かっている。緑川も一緒だ

「聞こえなかった、もう一回」

「明日から二日間有給を取った」

「私の、だよな」

「その間、お前は警察庁出入り禁止だ」

今度は私が溜息を吐く番。何でもかんでもこいつは勝手に決める。確かに今回は久々に盛大な口論の末、私が意見を押し通したわけだけれど、それはいくら何でもやりすぎだ。おまけに自宅に着いたら着いたで玄関の目の前には同期3人。ちょっと待って、全員昨日まで同じ凶悪事件を追ってたじゃないか、現場で顔を合わせただろう、なんでいるんだよ、しかもうちに。

両手に大量の食材が入った袋を持った伊達と萩原、見るからに酒の缶ばかり入っているのは松田の袋、こいつらうちで宴会やる気か。