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33. ページ34

「あの事件終わったら有給取ろうぜって話は前からしてたんだよ」

「取ろうぜで取れるもんだっけ…有給って…ていうかまさか全員取ったの?降谷と緑川も…?」

「当たり前だろ」

「何がどう当たり前なんだよ…有給なんか使ったこと殆どねえわ…」

「もうAが何も文句言わなくなったな、担がれてるのに」

「駄目なんだよ、こいつ話通じないから…足折れてるからって担がなくたっていいだろうよ…何の為の松葉杖…」

「お前、腕も折れてるだろうが」

リビングのソファーに下ろされるまで肩に担がれたまま。私は米俵か?しかも私の家のはずなのに、何故か我が家のようにキッチン立っているのは降谷。お前んちじゃねえんだぞ、勝手にエプロン使うなこら

「顔か…傷、結構でかいのか?」

「見ない方がいい、私も見たくない。縫ったから開かないとは思うけど」

「え、」

「硝子が顔に突き刺さってて…俺が叫んだ…」

「大袈裟だよ、治るのに。目に刺さんなかっただけラッキー」

「うわ、この怪獣すげえポジティブ」

「うっせえよ、ナチュラルに怪獣って呼ぶな、あっちにゴリラいんだろ」

「怪獣とゴリラだったら怪獣の方が強そうだけどな」

「その組み合わせってほぼゴジラじゃねえか!」

「誰がゴジラだよ、乙女に向かって、爆笑すんな!」

「悪かったなゴリラで。お前ら先に始めんな、あと誰か手伝えよ」

「エプロンの似合うゴリラってのもなかなかいねえぞ、降谷」

「伊達のフォローが全然フォローじゃねえ!」

「駄目だ、笑いすぎて息出来なくなってきた」

まるで昔と変わらない。この異例の全員有給。どうせ私の為に取ってくれたんだろう、どんなやり取りがあったかは知らないし、聞いたって教えてはくれない。このメンバーで集まっている時は降谷も素に戻っている気がして実は少しほっとする。勿論、私や緑川と話している時は素に近いんだろうけど、肩から力が抜けている時間はまずない。それに、降谷には私の知らない顔がある。

一度だけ見たことがあった
安室透(降谷でない降谷)の姿。
背筋に冷たいものが伝った、私の知る降谷零とは似ても似つかない優しげな笑み。怖くなり走ってそこから立ち去った。あれは誰だ?何故か泣きそうになった私は自分の知る降谷零が戻るのを企画課のデスクで待って、数日後仏頂面で現れた降谷にまた泣きそうになったんだ。


「…百面相か?」

「Aはコロコロ表情変わるからなー」


この場所が在るから私は笑える
私で在れる。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時

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