【WT】New world【短編集】

キヲク。5 ページ17

菊地原side



「強化聴力はA先輩も持ってたはず…」

じゃあ僕はそれを受け取ったってこと？そんなことできるの？…そもそもなんでA先輩は死んだの？


ふらふらおぼつかない足取りで歩いて、家にたどり着いた









＿＿＿＿その夜、夢を見た



「先輩。強化聴力ってどんな感じ？」

『えー？んー、耳の中に虫がいるみたいな？』

「…なにそれ」

『ははっ。まーでも、あってよかったかな〜。体験してみたい？』


あぁ、これは僕の記憶。
まだA先輩が生きていて、笑ってる＿＿＿


「…ちょっとだけ」

『お、珍しい！じゃあきくっちーにあげるよ。』

「は？そんなことできないでしょ。」

『それができるんだよね〜。…＿＿＿＿＿＿だから。』



え？なに、よく聞こえなかった。

……あれ、急に場面が変わっていっちゃう…



『このサイドエフェクト、士郎にあげる。』

ここは今日通った…川沿いの……

『きっと私はもうすぐ……。』

『だから、士郎が使って？』


は？何勝手なこと言ってんの？全然話が見えないんだけど。なんで僕は黙ったままなの？……何とか言いなよ、…もう会えないのに……っ!!







『私のこと、いつか思い出してね＿＿＿』







それはまるで、僕が記憶を消されるとわかっているような口ぶりで＿＿＿＿









「……っ」


窓に差し込む朝日が眩しくて目を覚ました。


「もしかして……」


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