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156.欲深さ ページ37
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智「もうそろそろ帰ろっか」
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あの後、大野さんが思い出し笑いするから恥ずかしくなって怒っちゃって…。
でも、当の本人は楽しそうに可愛い笑顔で笑いながら謝ってくるし…。
もー、感情グチャグチャで大変だった。
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でももうそんな幸せな時間も終わり。
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「……」
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ヤダな…。まだ、まだ帰るのには早過ぎる。
私はもっと大野さんと一緒に居たい。
……でも…、そう思ってるのはきっと、
私だけ……。
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智「…やっぱ、最後にお土産売り場行こっか」
「、え…」
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そう言った大野さんは私に背を向けて歩き出した。
お昼ご飯の時に自然と離された手。
離さざるを得なかっただけだけど…。
あれから手を繋がれることはなかった。
もう一度。この場で。触れたい。
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私に向けられた遠くなっていく大野さんの背中を見たら、どうしようもなく、もう、勝手に足が大野さんの方へと向かって行った。
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タタタッ、と走って。
躊躇うことなく、大野さんの無防備な手をギュッ…と両手で握った。
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智「っ…、」
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驚く大野さんが振り向いて、俯きながら手を握った私に視線を向けた。
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作者名：な り き | 作成日時：2017年10月16日 14時
