２）好きって言って -O.S- (ページ7)

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39.切ない思い出ページ7

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私が小学３年生の時の話。

学校の帰り道を１人で歩いていると、
私の前から少し離れた道の端っこにうずくまってる少年がいた。

それが翔くんだった。

不思議に思った私は男の子のところまで駆け寄る。

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『どうしたの？』

そう声をかけても何も返事が返ってこない。

心配になってしゃがんで顔を覗き込むと
呼吸は荒れていて、眉間にシワを寄せて額からは汗が流れていた。

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これは絶対に体調が悪いんだと察した私は

" すぐ戻って来るからちょっと待っててね "
と男の子に告げて急いでその場を離れた。

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『っ…はいっ！これ飲んで！」

私は近くにあった公園の自販機で買った水を
うずくまってる男の子に渡した。

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翔『…、っいらない…』

私が差し出した水を見たあと、パッと目を逸らした。

…そっか。しんどすぎて飲めないのか。

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『ねぇ、家どこ？』

そう聞くと、ゆっくりと前を指差して

" もうちょっと先 " と言った。

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もうちょっと先か。…よしっ！

私は男の子の前に背中を向けてしゃがんだ。

翔『っ…何やってんの…』

しんどくて声があまり出てない。

『送ってあげる！乗って！』

しゃがんだまま首だけ少し振り向いて
早く早く！と急かす。

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翔『…、なんなのお前…』

文句を言いながらも私の肩に手を乗っけたから
そのまま立ち上がって男の子を家まで送った。

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次の日の朝、教室について机の中に教科書を入れようとしたら

ガッと机の中の何かに引っかかった。

引っかかった物を取り出すと、それは昨日の公園の自販機にしか売ってないオレンジジュース。

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…これ。

もしかしたらと思ってオレンジジュースの入ったペットボトルをくまなく見たら…

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〈昨日のお礼〉

と、マイネームでお世辞でも綺麗とはいえない字で書かれていた。

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それから翔くんとはよく遊ぶようになって
知らない間に好きになってた。

…けど

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ある日、私の机の上に前と同じオレンジジュースが置かれていた。

今度は何なのか、ワクワクしながら
それを手に取った。

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『…、っ意味分かんない…』

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〈引っ越した。今までありがとう。じゃあな〉

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そこに書かれていた文字は、

私の涙で消えてしまった。