【BLEACH】異界に舞う桜

41.攻撃は最大の防御っていう言葉もあるしね。うん。 ページ42

「……かち割れ、『朧時雨(おぼろしぐれ)』！！」

「！」

(始解！)


そう察して警戒を強める。
案藤の斬魄刀は柄が伸び、刃が刀から斧へと姿が変貌を遂げた。


「悪かったな、さっきまで手ェ抜いててよ。だけどこっからは……




殺す気でいくわ」


案藤から鋭い殺気に似た霊圧が、痛い程伝わる。怯んだ際に隙ができて、案藤はその隙を確実に狙ってきた。

反射で振り下ろされた斧を避けると、先程まで私がいた地面は割れ、そこから大きな亀裂が走る。


(あれを受け止めるのは、流石に厳しいか……？)


オマケに鬼道を扱える。遠距離攻撃は鬼道で相殺される可能性があるから、やっぱり近距離が一番無難な気がする。どちらかと言えばそっちの方が得意だし……あぁでも、さっきみたいに突然鬼道をかけられる可能性もなくはないな……


(……あーもうやめだやめ！ こんなのらしくない。やっぱり先手必勝に限るっ！！)


そりゃ、策無しで突っ込むのも正直どうかと思う。でも、こちらから何もしないのとは違うし、後、攻撃は最大の防御っていう言葉もあるしね。うん。

……あ、そうだ。


「雷神！」


強力な電撃を纏った刀を力いっぱい、距離がある程度縮まったと同時に、地面に叩きつける。

辺りが土煙に包まれ、殆ど何も見えなくなるが、お構い無しに前に踏み込んで刀を振るう。だが、斬った感覚はまるで無し。そのため霊覚に神経を研ぎ澄ませる。案藤の霊圧を探るが、近くにいる筈の霊圧を感じ取る事は出来なかった。


(また霊圧を消したか！)


目を開けたその途端、土煙越しに風を切る音が僅かに耳に届く。

こっちかと半分ヤケになり刀で受け止めようと構えたが、刀に降り掛かる筈の重い衝撃が全く来ない。


何でと思った、その瞬間だった。



ドッ……


「ッぐ……！？」


脇腹に鋭く重い痛みが走り、体がその衝撃に耐え切れずにそのまま壁に強く打ち付けられた。


「ゲホッ、ぅ…………っ」


肺を圧迫する感覚に咳き込みながらも、必死に案藤の霊圧を探るが、そうする必要は無かった。

捜していた男は、目の前でブツブツ何かを言いながら、右の掌を突き出して私を見下ろしていたのだから。



…………え、掌を突き出して？ ブツブツ何かを言って？




その意味が最初こそは分からなかったけど、やがてそれが今、とてつもなくヤバい事だという事に気付いたが、時すでに遅し。


「破道の三十三、蒼火墜」


けたましい爆音が、辺りに鳴り響いた。

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