Happy Everyday 2nd.

ベタやけど惚れるby能見 ページ40

「おぉー、めっちゃひろーっ！」

リビングに入ったAは、真っ先に窓の外の景色を見て叫んだ。

能「トリん家の方が広いで」
「マジですか！？さすが、プロ！」

興奮したまま、こっちにやってきて、今度はテーブルの荷物を見る。

能「やっぱ、多いな」
「そりゃあ、一式買っちゃいましたから」

食品から、調味料から、備品から…。
何から何まで、全部買い込んだ。
朝ごはん分も含めて、袋8コ分。
正直、ここまでなるとは思わんかった。

能「もう作らなあかんか。言うてる間に、アイツらが来るわ」
「そうですね。キッチン、お借りします」
能「どうぞ」

2人で重たい袋をさげて、キッチンへ。

「キレイですね。私とは大違い…」

言い方にしろ、引きつった笑いにしろ、あれは確実に落ち込んでる。
しょーもないことやのに…可愛いな、もう。

能「そんなに使わんから。で、何からすんの？」
「まずは、ひたすら皮むきですね」



◆◇◆



料理って、難しいもんやな。
いっつもAの動きを見てんねんけど、マネできひん。

能「どー切ったらええの？」
「こうですよ」

手本通りに、俺も横でやってみる。

能「こう？」
「んー、ちょっとちゃう。後ろ、失礼しますね」

Aが俺の後ろに回って、俺の左手に自分の手を重ねてくる。
よくカップルがするヤツや。
でも…。

「あ、見えへん」

そうやと思った。
小さいAが後ろに行ったら、俺の背中越しに手元は見られんやろ。

「じゃあ、前でしますね」

Aはおもむろに、俺とキッチンの間に入って、また手を重ねてきた。

「ちゃんと見ててくださいよ？」

そして動かしながら、切り方を教えてくれる。

「はい、これで終わりです。簡単でしょ？」

切り方は簡単やけど、思いはそれどころやない。
にこりと見上げるAが、めっちゃ可愛い。
抱き締めて、そのまま唇を奪いたいぐらい。
でも、今は包丁持ってるから出来ひん！

「ん？どうかしました？」
能「…何にも。ありがと」

Aは、あっという間に逃げてしまう。
もー！
アイツらが、こーへんかったら良かったのに！



◆◇◆



ほとんどの料理ができ上がった。

能「あとは揚げモンやな」
「じゃあ、先にチーズケーキ作りましょう」


――ピンポーン♪――


インターホンが鳴った。
キッチンの電話には、アイツらの顔が映ってる。

「あれ？もう時間ですか？」

時計を見ても、言ってた時間まで、まだ1時間以上もある。

能「いや…。とにかく、上がらせるわ」

奥さまに見えてきた…by今成→←欲張りやしby能見

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す