Happy Everyday 2nd.

欲張りやしby能見 ページ39

試合が終わった。
ロッカールームに戻れば、アイツらが喋り出す。

良「Aちゃんのごはんは？！」

このあと、俺ん家で飲み会があるんやけど、今回はAも参加する。
いつものメンツで男ばかりの中、A1人…。
『万が一の場合があるかもしれんから誘うな』って言うたのに…。

今「俺も食べたーい！」
西「俺もー！」

コイツらが盛り上げたせいで、あっという間に決まってしまった。

鳥「俺は何でもいい」
能「…はいはい」



◆◇◆



仕事上がりのAを車に乗せて、まずはAの家に行く。

「待っててください！すぐにまとめます！」

Aは靴を投げ出して、部屋に駆け込んだ。
俺も上がらせてもらって、2人分の靴を揃える。

能「ゆっくりしぃや」

リビングの壁にもたれて、Aを眼で追ってたんやけど、寝室と洗面所を往復したっきり、寝室から出てこない。

「ドライヤーはいりますか？」
能「いらん」
「バスタオルは？」
能「ある。身体洗うヤツはいるから」
「はーい。じゃあ、これとこれを入れて…できましたーっ！」

Aがひょっこりと、視界に入ってきた。

能「めっちゃ早いな。5分も経ってへん」
「ちまたの女子とは違うんで！コレ、どーですか？サラなんです！」

今度は背中を向けて、背負った真っ赤なリュックを見せてくれる。

能「意外な色やな。黒とちゃうんや」
「たまには違う色でもいいかな、って」
能「うん、似合ってる」
「ふふ、照れちゃいます」

こういうとこは照れてるのに、どーしてあの格好――下着は照れへんねん。
…基準が分からんわ。

能「じゃあ、いこか」
「はい♪」



◆◇◆



Aん家の次は、材料の買い出し。

能「みんな、Aのご飯が食べたいんやて」
「そうなんですか！？嬉しいですね」

羽根が生えたように軽い足取りで、Aは先にスーパーに入った。
俺もカートにカゴを入れて、早速野菜を手に取ったAの元に行く。

「能見さんは、何が食べたいですか？」
能「ハンバーグとトンカツとミネストローネスープと…」
「まだあるんですか？」

あとは、肉じゃが、だし巻き、中華…。
言い出したら、キリがあらへん。

能「あ、チーズケーキも食べたい」
「もー、欲張りですね」
能「うん。俺は欲張りやもん」
「じゃあ、欲張りな能見さんにも、手伝ってもらいますね」
能「もちろん」



今日、唯一の2人きりのチャンス。
コレを見す見す逃すワケないやん。
…とりあえず、足手まといだけにはならんとこ。

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