no.06 ページ6
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あの日、Aは珍しく酔っていた。
「わたし……角名くんち泊まる…」
「A、俺は古森だよ〜」
どういう流れでそうなったのか。
元也の腕にもたれかかって俺の名前を呟いた。
いやそこは俺のとこに来なよ。
そんなことを思いながらタクシーを呼んで、
ふらふらな状態のAを連れてタクシーに乗った。
「A、アパートどこ?」
聞いても全く教えてくれなくて、結局ウチに連れて帰ることにした。
部屋に上がって、水飲んで着替えなね、と着替えと水を渡す。
お酒くさい自分の服も着替えて部屋に戻ると、
水をちゃんと飲んで着替えを終えたAが小さく横になって眠っていた。
こら、そこで寝んな。と体を支えてベッドに寝かせる。
けどAは首に腕を回してきて放そうとしなかった。
「あのー、Aさん?」
「………………」
「これ色々とやばいんすけど」
首筋に顔を擦り寄せてくる彼女に放すよう促しても
ぐっ、とさっきよりも強く引き寄せられた。
手を出しちゃいけないと必死に耐えてたのに、
「……角名くんいい匂い」
「……!」
その甘ったるい声を聞いた途端、ぷつん、と糸が切れるように理性を失った。
押し倒して全部をぶつけるように唇を塞いだ。
角度を変えながら、そりゃあもう。何回も。
途中息が苦しかったのか、やだ、と顔を背けられたけど、
それでも顔を固定して続けた。
あ、それ以上はしてないよ?さすがにダメだと思ったから。
(って誰に話してんだ。これ。)
その後はまあ、いつの間にかAの横で眠ってて、
翌朝 顔を真っ青にした彼女に起こされた。
こうやって回想してみると、ほんと、
「…なにやってんだか」
「?角名なんか言った?」
「ん?なんもないよ」
練習着に着替えながら小さく笑う。
となりで着替えていた元也が、あっそう?と軽く流した。
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作者名:. | 作成日時:2020年5月29日 23時