３９ページ:前世 ページ39
しばらく前から、前世の夢はよく見ていた。
＿＿＿『ゼロに悪戯しない？』
＿＿＿『何だ、藪から棒に』
特に高校時代は馬鹿みたいにふざけたり、とにかく楽しかった。
＿＿＿『例えば口の中に苺ジャム突っ込むとか』
＿＿＿『うわ、甘そう。怒られたいならやっていいと思うぞ』
だからこそ、思い出す度にあの時に戻りたいと切実に願ってしまい、そして前世の人生に愛惜を抱いてしまうので、思い出したくなかった。胸が痛むもので。
＿＿＿『ヒロも共犯にするからいい』
＿＿＿『それは是非とも勘弁願いたいものだな…』
だから、私は過去を否定していた。無いものに、したかった。
＿＿＿『じゃあ明日までに世界一甘いジャム持ってきて』
＿＿＿『ゼロに殺されても知らないぞ？』
＿＿＿『誰に殺されるって？』
馬鹿やって、ふざけ合って、楽しんで、悪戯しようとして怒られて…
＿＿＿『…学年2位』
＿＿＿『お前とは話し合いが必要なようだな…？』
それらは全て、蓋にしまって二度と開けたくはなかった。
＿＿＿『怒ってる…ヒロ、逃げよ』
＿＿＿『俺完全にとばっちりだよな？』
…けど、別れは人間にとっては避けられないものだと、気付いた。
＿＿＿『ヒロは私の味方だから』
＿＿＿『疑問符すら付けないのか…』
矛盾を無視するな、と自分自身に言われてしまった。
＿＿＿『困った時は…お互い様』
＿＿＿『その台詞をここで持ち出すお前は相当いい性格をしてるよ…』
…確かにこのままでは、私は疲れてしまうだけだ。矛盾も我慢も抱えるなんて。
＿＿＿『ヒロも困ったら私を頼って』
＿＿＿『とか言って面倒事になると逃げる癖に』
忘れようとしたが、あまりにも過去は私を執拗に追うもので、思い出した。だから、受け入れざるを得なかった。だから、仕方がない。私は受け入れることにした。
…保護者やおじさんが前世の友人であるゼロやヒロであるのは、嫌でも分かった。今まで触れないようにしていただけで。
奇跡だ、と思った。けれども奇跡は二度も三度も起きない。この人達と一緒にいられるのは、もう今世で最後だろうな。とは思っていた。だから私は過去を受け入れた。
…今度こそ、本当の意味で後悔を残さないよう。
私は少しずつでも、前を向くつもりだった。
それなのに。
ヒロは私の手の届く場所で死んでしまった。
…残ったのは、私の大嫌いな喪失感と、大きな後悔だけだった。
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卵かけご飯の醤油 - みつるさん» ああ、確かに盛者必衰の方が多分内容的に合ってますね。私、てっきり諸行無常も盛者必衰も同じような意味かと思ってて…今ウィキ先生で調べてみました。どうやら意味合いが違うようです…わざわざご報告、ありがとうございます。修正しますね。 (2019年5月29日 19時) (
レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
みつる - 49ページなんですけど…諸行無常ってなんとも言えないという意味だと思います。多分盛者必衰の間違いかと…間違ってなかったらすみません(>_<) (2019年5月29日 18時) (レス) id: d6e134e20f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - すすぎさん» そうなんですか…もしよろしければその私の小説と似ているという小説の題名を教えてくれませんか？出来ればその小説と話が被らないようにプロットを書き直すつもりなので… (2019年5月26日 12時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
すすぎ - あまりにも似てるものがあったので..... (2019年5月26日 11時) (レス) id: 28118ed8c0 (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - ありがとうございます。まさか読みやすいというコメントを貰うとは思っていませんでした…嬉しいです。これからも更新頑張ります。 (2019年5月25日 14時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卵かけご飯の醤油 | 作成日時：2019年5月17日 15時
