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「いい日だね」
「…」
私はただ保護者に着いていくように歩くだけだった。人気は少なく辺りは閑静で、だからこそ私達の周りに出来る雰囲気はいいものでは無い。
「…少し、公園のベンチに座ろうか」
何だかいたたまれなくなったのか、保護者がそう言った。私はそれに素直に従い、後を追う。
…どうでもいいが、第三者から見ると誘拐の図みたいだな、とふと思ってしまったことは秘密だ。
「…お父さんとお母さんは、どんな人だったんだい？」
何かと思えば、私の今世の両親についての話だった。
両親か…私が記憶を思い出して間も無くしてトラックにはねられたと記憶している。…ただ、それ以上に思うのは、両親は私のことをちゃんと子として愛してくれていたこと。…薄ぼんやりだが、覚えている。
父は働きづめだったのか家にいないことが多く、母は家事と育児の両立。しかし二人とも、どんなに忙しくても私に笑いかけていた。世間一般的に言うのならば、あれは良い親というものなのだろう。
今となっては、そんなことを思い出しても他人事のようにしか感じられないが。
「…とっても優しい人だった。二人とも」
私は静かに口を開いた。保護者は、私の目を見てしっかりと聞き入れていた。
「お互い、本気で喧嘩することは無かった。私の前では、弱音も吐かなかった」
…私にとっては、理想的な親だった。
けれどもそんな理想は現実に壊された。一台のトラックに。…死んだと聞いたとき、少しばかり心に穴が空いたような喪失感に襲われた。
…あの喪失感は、私が死を迎える時にも襲ってくる。死ぬとき、走馬灯のようなものが頭に流れ込んできて…そしてそれらを…人生を、思い出を、感情を、私が持っている全てを誰かに奪われるような喪失感。…私はあれが一番嫌いだった。
でも両親が死んだとき、それは少ししか無かった。…今でも現実が受け入れられない。本当に死んだのか疑わしいと考えてしまう。
「…まだ、死んだなんて…信じられなかった」
「…そっか。辛い話…させちゃったかな。ごめんね」
静かに目を伏せると、保護者は申し訳なさそうに謝った。…何を今更。
「ファミレス、行かないかい？パフェでも何でも食べていいよ」
さっきまでの話題を無かったかのように保護者はベンチから立ち上がった。私も一つ頷くと、保護者は私に合わせて歩き出した。
…気のせいか、さっきまで2000に近かった保護者の私への警戒度がちょっぴり減っている気がした。
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卵かけご飯の醤油 - みつるさん» ああ、確かに盛者必衰の方が多分内容的に合ってますね。私、てっきり諸行無常も盛者必衰も同じような意味かと思ってて…今ウィキ先生で調べてみました。どうやら意味合いが違うようです…わざわざご報告、ありがとうございます。修正しますね。 (2019年5月29日 19時) (
レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
みつる - 49ページなんですけど…諸行無常ってなんとも言えないという意味だと思います。多分盛者必衰の間違いかと…間違ってなかったらすみません(>_<) (2019年5月29日 18時) (レス) id: d6e134e20f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - すすぎさん» そうなんですか…もしよろしければその私の小説と似ているという小説の題名を教えてくれませんか？出来ればその小説と話が被らないようにプロットを書き直すつもりなので… (2019年5月26日 12時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
すすぎ - あまりにも似てるものがあったので..... (2019年5月26日 11時) (レス) id: 28118ed8c0 (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - ありがとうございます。まさか読みやすいというコメントを貰うとは思っていませんでした…嬉しいです。これからも更新頑張ります。 (2019年5月25日 14時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卵かけご飯の醤油 | 作成日時：2019年5月17日 15時
