何であんたら数値そんなに高いの？【名探偵コナン】

８ページ:散歩 ページ8

ここに来てからやっと…いや、ようやく一週間が経った。

私が落ち着ける場所といえば、図書館か自室だけである。家は自室以外だと変に保護者を意識しちゃってしょうがない。自室なら保護者は全く入らないので安全である。あの人、ご飯の時間になると部屋に入らずに大声で呼ぶし。
…やはり子供が嫌いなのだろう。

「…」

幼稚園が無い時、最近ではずっと自室に引きこもりっぱなしだ。まるで引きこもりだと思うことはあるが、それでも外で遊ぶような気力はない。

たまに保護者が私を公園に連れ出すこともあるが、ブランコを漕いでおしまいだ。全く動こうとしない。保護者はそれによく困ったように笑っているが、心の中では面倒臭がっているのだろう。多分その内公園に連れ出そうとしなくなるな。

ただ、体を動かさないといくら幼児の体でも硬くなるし体力も落ちるだろう。最悪喘息とか起こしかねない。
なら、今日は幼稚園も何も予定は無いし、軽いストレッチでもしようか。その後は…まあいつも通り、適当に時間でも潰そう。
私が読んでいた本を片付けた。まずは長座体前屈でも始めようかな。









「それじゃ、一緒に散歩行こうか」

今の私と保護者の服装は明らかに外に出る為の服。
そしてついさっきまで、私は自室で軽く体をほぐそうとしていた。…ただそれだけだった。
散歩しようとは思ってなかった。

「…」

どうしてこうなった。と少しツッコミを入れたい。
確かあの後、私は喉が渇いたから台所に行って飲み物でも飲もうとして…それを見た保護者が、

「今日は折角の散歩日和だし、一緒に散歩でもしないかい？」

と外着に既に着替えた状態で言い放ったもので断りたかったのだが、圧を掛けられているように錯覚させられるほどの有無を言わさぬ笑顔で誘ってくるものだから、つい了承してしまったのだ。
…この人、時々強引なところもあるな。

「散歩ついでにお昼ご飯も外で一緒に食べようか。君は何が食べたい？」

靴を履きながらそんな質問をされたが、特にこれといって食べたいものは無く、

「…」

黙って靴を履いた。
こういう時に何か答えられれば良かったのだろうが、私にはなんて答えれば良かったのか分からなかったし、そもそも答える気も無かった。

しばらくずっと黙り込む私に保護者は困ったように笑って、

「じゃあファミレスにでも行こうか」

それだけ言って扉を開けた。

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