ノーマル人間が魔界へ行くと…２【魔入間】

５． ページ29

フゥ、と息を一つついて腰掛ける


「私の、夢……」


――お嫁さんかぁ…

私なんかでも、いつかは大好きなひとのお嫁さんになれるものなら…


フルフルと頭を振って払った。


ううん、無理だよね

そうなったところで、あの人みたいに早々に別れてたんじゃ意味もないし

家庭なんて、どんなものか…
うまくやっていく自信なんてないもの


そもそも此処だと周りには悪魔しかいない

たった一人、入間君を除いては、


いやいや、仮にも弟

血縁でも戸籍でもない契約だけれど、それはダメな気がする
なんとなく、倫理的に

ってことは、人間界に戻るって選択になるのかな



でも、もし、できることなら…


制服のポケットに仕舞ってある、1枚の羊皮紙を取り出し、ベッドに身を預けた。


――カルエゴ先生とだったら、いいなー…


羊皮紙を掲げ、


どうすれば振り向いて、笑ってもらえるのかな…


あの時、背中越しに見せてくれた横顔を思い浮かべて、それを両手で包んで胸に当てた。



もしも夢が叶うなら、



カルエゴ先生に釣り合う、魅力的な大人の女性に――…。





その日見た、寝て見るほうの夢は、



真っ白なチャペル


バージンロードの向こうで、タキシードに身を包んで


「A」


私を呼ぶ最愛の彼――…

シルエットが徐々に大きくなって、迫ってくるのは、






オペラさん…ッ！？


「結婚初夜ですね
寝かせませんから覚悟しておいて下さい」


悪夢でしかなかった。

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