番外編【3】#36 ページ48
エルヴィンside
コンコン
優しいノックがして「どうぞ」と言うと、秘書の名前がドアを開けた。
「エルヴィン団長、お客様です。」
そう言って、部屋にとおされたのは緊張した様子のマリアだった。
「ありがとう。」
そう言うと、私の秘書は優しく微笑んでドアを閉めた。
私は椅子から立ち上がり、ニコっと微笑んだ。
「久しぶりだね。」
そう言うと、マリアが泣きそうな顔で
「あの、エルヴィン団長、ごめんなさい!」
両手を膝にピッタリくっつけて頭を下げた。
「私、リヴァイ兵長からお見合いのこと全部聞いたんです。私、何も分かってなくて、エルヴィン団長にひどいことたくさん言ってしまって......。本当にごめんなさい!」
涙をグッと堪えているみたいだが、声はすでに涙声だ。
私はマリアの元へ行き、ゆっくりしゃがんでマリアの肩に手を置いた。
「顔を上げてくれ、マリア。」
マリアが恐る恐る顔を上げると、大きなエメラルドグリーンの瞳が私を捉えた。
「謝るのは私の方だ。リヴァイを助けるためとは言え、君に嫌な思いをさせてしまった。本当にすまなかった。」
彼女のピンクに染まった頬に優しく右手を添えた。
すると、つうっと一粒の涙が流れ、親指でそれを優しく拭った。
「マリア、私は君が好きだ。一目会った時からそうだった。」
マリアの瞳が揺れている。
「私は今まで、幸せになることから逃げてきた。怖かったんだ、大切な人を失った悲しみは、残されたものには耐え難く、辛いものはない。」
私はマリアを見つめた。
「だが、君と出会って変わった。どんなに辛いことがあっても、大切な人を想うことでどんな困難も乗り越えられる。」
「私は、心から君を守りたいと思った。」
そう言うと、マリアは目を潤ませながらも、おもむろに口を開いた。
「私も、エルヴィン団長のこと好きです。あなたと一緒にずっといたい。」
顔を真っ赤に染める彼女にそっと顔を近づけ、彼女の唇に視線を落としながら、小さな声で囁いた。
「キス.....しても?」
そう言うと、彼女はこくんと頷きおもむろに唇を動かした。
「愛してる。」
私達は唇をそっと重ねた。
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作者名:ナツメグ | 作成日時:2017年5月22日 21時