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番外編【3】#20 ページ32
エルヴィンside
私はこんなにも、本能というものに正直だっただろうか。
自分でも驚いてしまう。
私は今彼女と唇を重ねている。
なぜかキスをしたい、彼女に触れたい衝動に駆られた。
私は調査兵団に入って、心臓を国に捧げた身だ。いつ死ぬかも分からない。恋人はつくらないと決めていた。
なのに、こんなに心乱されたのはいつぶりだ？
まだ出会って日も浅いのに。
彼女のことをもっと知りたい。
そう思うのはただ単に私の探究心からだけじゃない。心の奥から湧き出るものが叫んでいるようだ。
チュッ
唇が離れる際に音がなった。
彼女は私を見つめて動けないでいる。目はうるうると涙ぐみ、瞳は揺れ、ただただ固まっていた。
そしてだんだん顔をめいいっぱい赤くしながら顔を逸らしてしまった。
「驚かしてしまってすまない、マリア。君を見ていたらついキスを......したくなってしまった。」
「だ、だからって急には困ります。」
そう言ってマリアは私に背を向けた。
「エルヴィンさんとキスなんて......私、全く考えていなかった！」
「さっきの医務室ででも、かな？」
「なっ......！？」
彼女は顔を赤くして私の方へ振り返った。
「もう！調査兵団の団長さんは、意地悪です！全然怖い人じゃなかった！」
マリアは叫んだ。
「それにとっても優しくてかっこよくて......。」
そして私の目をジッと見つめた。
「とても......、暖かい人です。」
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作者名：ナツメグ | 作成日時：2017年5月22日 21時
