番外編【3】#10 ページ22
マリアside
エルヴィンさんに連れられながら、初めて調査兵団の中に入らせてもらった。
建物は古城を少し改良したものらしく、廊下や食堂は広い上に壁や床は頑丈にできていた。
エルヴィンさんは私が階段から落ちるところから助けてくれた恩人だ。
お礼に靴を作りたいとお願いした手前、毎回王都まで来てもらうのは忍びなく今回調査兵団にお邪魔した。
もし運が良ければ噂のリヴァイ兵士長と団長さんに会えることを期待して、今回エルヴィンさんとの約束をとりつけたのだ。
彼の横を歩きながらそっと顔を見てみる。
背が高くて優しさの中に凛とした顔、堂々としたいで立ちは普通の兵士とはどこか違う気がする。
私は兵士という人種は苦手だ。街にいる兵士はだいたい憲兵団で酒を飲みながら仕事したり、喧嘩したりと体たらくなのに威張っている。
なのに彼は兵士なのにとても紳士で気さくだった。それに生き生きしてみえるのはなぜだろう。
そんな事を考えながらしばらく歩くと、少し広い部屋に通された。中にはテーブルとソファーがある。
「ここは客人を招いた時に使っている部屋だ。こちらで足の測定をお願いしてもいいかな?部屋には大事な書類もあって一般の方が入るのは遠慮してもらっているんだ。」
申し訳ないと言うエルヴィンさんに私はフフッと笑った。
「もちろんです。本当はなかなか入れない調査兵団本部を見れただけでも私嬉しいです。これもエルヴィンさんのおかげです、ありがとうございます。」
そう言うと、エルヴィンさんは私の顔をじっと見た。何か言おうとしているようにも見えたけど、すぐにそれは彼の笑顔でかき消されてしまった。
「ありがとう、助かるよ。」
彼はそう言って、私にソファーへ腰掛けるよう勧めた。
104人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナツメグ | 作成日時:2017年5月22日 21時