おかあさんではありません！4【歌.い.手】

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ギャーギャー騒ぎながらもお粥を完食した坂田さんは、志麻さんに「二度と来んな！」と暴言を吐き部屋から追い出した。
まぁ、志麻さんにうつっても大変なので早めに退散してもらえて良かった。

「.....熱上がったかも」
「暴れるからですよ。バカなんですか」
「バカちゃうわ、あほや」
「ハイハイ」

すっかり拗ねてしまった坂田さんをベッドに寝かせ、汗の滲む額を軽くタオルで拭いてあげた。
冷えピタと氷枕を渡し、「寝ててくださいね」と言うと、「今度はここにおってよ」と言われてしまった。

「ええやろ？さっきはちゃんと我慢したし」
「...分かりました。坂田さんが寝るまでここにいます」

持っている書類だけでもまとめておきたかったけれど、仕方がない。
風邪の時に弱ってしまうのはよく分かっているから。

「A、手握って」
「はい」
「.....へへ、なんかほんまにおかあさんみたいやな」
「こんなに手のかかる子供いらないです」

熱で少し舌っ足らずになっている坂田さんは本当に幼くて、もし自分に子供がいたらこんなに感じなのかなと一瞬思ってしまった。

「なぁ、お願いがあるんやけど」
「なんですか」
「...子守唄、うたって」

突然のリクエストに戸惑いつつも、寝てくれるのならいいだろうと口を開いた。

「私が小さい頃に母に歌ってもらってたやつですけど」
「ん、ええよ」

息を吸い込み、あの頃を思い出した。
久しぶりに歌うのにスラスラと出てくるのは、それが体に染み付いていたからだろうか。

しばらくそうしていると、いつの間にか坂田さんは眠っていた。

「...おやすみなさい」

赤茶の髪を軽く撫で、部屋をあとにした。
明日には元気な彼が戻ってきますように。



(お、まえ今歌ってただろ)
(はい、子守唄を。どうしたんですかうらたさん、フラフラして)
(お前の歌声の破壊力やばいな)
(え？)
(志麻とセンラ落ちたぞ...)
(.....は？あ、寝てる)


(Aの歌声本当にやばいな。気抜いたら俺も寝るとこだった...)

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