おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

忘れた名前 ページ9

「ありがとうございました！またよろしくお願い致します！」

無事打ち合わせを終え外に出ると、もう日はとっくに暮れていた。
(時間押しちゃったな...)
皆さんは大丈夫だっただろうかと切っていたスマホの電源を入れると、うらたさん、志麻さん、坂田さん、センラさんからおびただしい数の着信が入っていた。
これは何かあったに違いない。
慌ててかけ直そうとした時に、突然肩を掴まれた。

「.......え？」

その人に、見覚えがあった。

(出待ちしてた人...！)

なんでここに、いや、幸い4人はここにいない。
ひとつ深呼吸をして、相手に向き直った。

「あの、浦島坂田船はここにはいませんよ？こんなこと続けるなら法的な処置をとらせていただきます」
「何言ってるの？」

そう言って男はにやりと笑った。

「僕はAちゃんを待ってたんだよ？」

すらっとした体型に黒い髪、優しそうな顔をしているけど醸し出す雰囲気は異様なものだった。

「あ、あの申し訳ないんですが、どちら様ですか？何で私の名前を.....」
「ステプリ...ステラプリンセスのAちゃんだよね？」

ステラプリンセス。

もうとっくに捨てたはずの名前に、心臓がどくりとはねた。

「...あなた、誰？」

肩に置かれた手がするりと腕を撫で、私の手首を掴んだ。
やけに熱い男の体温に、息苦しくなる。


(忘れたかったのに)

ステラプリンセス→←違和感の正体

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