おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

君は大事な ページ11

sakata side

「あ、電話繋がった！.......チッ、出ねぇ！」

うらさんが苛立っている。

「運転手さん、もっとスピード出せないん？」

志麻が焦っている。

「Aちゃん、大丈夫やろか...！」

センラが不安がってる。

(皆Aが心配やねん...！)

ばくばくと響く心臓の音がうるさい。
あの男はAとどういう関係なのか。
Aを傷つけるためにやってきたのか。
いろんなことが頭を駆け巡って気持ち悪い。

「着いたで！」

志麻の言葉に全員がタクシーから飛び出した。
辺りは暗く、灯りも少ない。

「.....て.....さい！」
「.....が.....で、.......う」

暗闇の向こうに微かに聞こえる声。
俺は真っ先に走り出した。

「坂田！？」

その後を慌ててうらさんたちがついてきた。

「A！！！」

そこには、男に手を掴まれ震えているAがいた。
彼女の顔は見たことがないくらい怯えていて、目からはぼたぼたと涙が零れていた。

「さ、かた...さん」

か細く呼ばれた名前に頭の中が真っ赤に染った。


(あぁ、俺今めちゃくちゃ怒っとる)

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