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「異能力のことだけど、それは人にも影響を及ぼすの?例えば、君が作ったお菓子を不味いと思わせることとか」
「遠回しに『美味しかった』と云ってくれてありがとう。そうだね、できるよ。やってみようか?うーんそうだな。名探偵。君は何が飲みたい?」
「じゃあ、オレンジジュース」
「OK」
女性は頷いて、咽喉マイクを取った。
「江戸川乱歩くん、中島敦くん。君たちがその冷めた紅茶を一口飲んだ時、その一口はオレンジジュースの味がするだろう。二口目からはただの紅茶に戻る」
そう云って、2人に紅茶を飲むようジェスチャーする。
乱歩は一気に、敦は恐る恐る紅茶に口をつければ、それは確かにオレンジジュースの味がした。
そして、もう一口飲めば、それはただの紅茶に戻っており、アールグレイ特有の香り高い風味が口の中に広がった。
「うわ……すごい」
「ふーん」
それぞれの反応の違いを、咽喉マイクをつけなおした女性は、楽しげに見ていた。
「すごいだろう。ただ、下手すると一生紅茶の味がオレンジジュースになってしまうから、気をつけなければならんのだがな。おっと、少ししゃべりすぎたみたいだ」
そう云って、女性は壁にかけられた時計を見上げていた。
時計は既に5時を指していた。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年11月30日 15時