12時過ぎても…４ ページ37
「ズボンのサイズが合いませんでした。」
彼女は俺のTシャツをワンピースのように着て、
ズボンを返してくれた。
「下に、短パンを履いてきてたので、大丈夫です。」
と彼女は言ったが、
彼女のTシャツから伸びた白い脚を見せられた俺は全然大丈夫じゃない。
とりあえず彼女の脚は見ないようにする。
「お泊り用の歯ブラシとか、あるよ。
たまに純喜とかサッカーサークルの奴らが泊まりに来るから。」
「ありがとうございます。」
「化粧落としたかったら、化粧落としもあるけど。」
彼女がチラリと俺を見た。
「あ、違うよ。俺の妹が泊まりに来た時に
忘れていったものだから。」
俺が慌てて女の子を連れ込んでいるわけじゃないと、弁解をする。
「最近は男の子も化粧をします。」
「そうだね。俺は日常しないよ。」
彼女の視線はたまに怖いが、大体の場合、俺が思ってることと別の事を考えてるな。
「あ、シャワー浴びる？
湿度高くて暑かったから
気持ち悪いでしょ。
はいこれ、タオル。
酔いさめてるよね？」
俺はお風呂の使い方を簡単に彼女に教えた。
「ありがとうございます。」
と言って
彼女は洗面所の鍵を締めた。
カチャリ。
シャワーの流れる水の音
ズルッと浴槽の踏む足音
折戸の開く音。
彼女の動く聞こえる度、
彼女の様子を考えてしまって、心臓に悪い。
俺は待っている間、気が気でなくて、何故かクイックルワイパーでフローリングを３回拭いた。
彼女がタオルで拭きながら出てくると、
つるんとしたいつもの彼女のスッピンがあって、まだまだあどけなさの残る表情が、何だか可愛くてちょっと安心した。
「あー、ドライヤーね。
ドライヤー。」
俺は洗面所に戻って、ドライヤーを彼女に手渡した。
また彼女はじいーと俺を見つめてきた。
よく見ると、さっきより緊張がほぐれたような気がする。
「ありがとうございます。
オカンですね。」
「まーたそんなこと言って。」
「褒めています。
私は、部屋でドライヤーをお借りするので、與那城先輩もシャワーに入られたら、如何でしょうか。お先に失礼致しました。」
「そうしようかな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ののん
| 作成日時：2020年5月13日 22時
