彼女は俺の筋肉以外の秘密を知っている３ (ページ35)

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12時過ぎても…２ページ35

俺たちは黙り込んだ。

「沙羅の家泊まれるかどうか、電話してます。」

彼女はポシェットから携帯を取り出して
沙羅ちゃんに電話した。

しかし、電話の呼び出し音が数回鳴るだけで、
留守番電話に切り替わった。

「織田先輩は？」

「織田先輩は土曜日は
朝までバイトをしています。」

「そうなんだ。」

やけに詳しいな…

「では、木全…」

彼女が翔也に電話をかけようとした。

「ストップ。」

俺は彼女の手を掴んで止めた。
彼女が俺の顔を見た。

「俺の家に泊まればよくない？」

「…。」

彼女は目をパチクリさせて黙った。

「いえ、ダメです！」

彼女は我に返ったのか、急に声を張り上げた。

「何で？」

「嫁入り前の娘がはしたないです。」

「『嫁入り前の娘』ってすごい久しぶりに聞いたな。」

「とにかくダメです。」

「いやいや、嫁入り前どうこうより
彼氏の前で他の男の子の家に泊まりに行くって言う方がダメでしょ。」

「…。
木全は男の子でしたか。」

「今の発言、かなり俺を不安にさせるな…。
とにかく他に手段がないんだし、
何もしないから、家においでよ？」

「『何も』って…なんですか？」

彼女が怪訝な顔をして尋ねた。

「なんかデジャブだな…。
いいよ。俺は廊下で寝るから。」

少しだけ拗ねて、彼女に背中を見せると、
ツンっと引っ張られる感覚があった。

彼女がジャケットの裾を掴んでいた。