※※Your Side※※ ページ21
與那城先輩はめっちゃモテた。
サークル練習中はいつも女の子を引き連れてたし、講義棟ですれ違った時も可愛い女の子と並んで歩いてた。
何処にいても違う女の子と居るみたいやった。
今日も與那城先輩の声が聞こえたから、図書館の吹抜から見下ろしてみると、踊り場の丸いテーブルで、綺麗な女の子と仲良く話してるみたいやった。
階段を降りていくと、
與那城先輩とバチッと目があった。
女の子はがっしりと與那城先輩の腕を抱き寄せていた。
私は思わず本音が漏れた。
「図書館という神聖な場所で、、、軽蔑します。」
女の子は私を見て紅い唇で微笑んだ。
私はそのまま階段を降りて図書館を出た。
外に出ると、円形広場の中心の大きな桜が花びらをチラチラ散らしていた。
春の空気を吸うと、去年の記憶が蘇ってくる。
あ。
思い出した。
與那城先輩の隣に座ってた女の子。
『私、そこの大学通ってるの。外国語学部!』
予備校の受付の事務の人や。
韓国から帰ってきたんや。
めっちゃ失礼な事言ってもうた…。
今から謝りに行っても、まだいはるかな?
図書館に戻ろうと、
後ろを振り返ると、
「あ!やっぱり!
山本さんでしょ?」
受付の事務の人が追いかけて来てくれた。
私の名前覚えててくれたんや。
「先程は失礼な事を言って申し訳ありませんでした。」
私はペコリと頭を下げた。
「謝んないで。
私も気付かなかったけど
この綺麗な黒髪見て、
山本さんだって
思い出したのよ。」
受付の事務の人が私の髪の毛を触った。
かなり気さくな人やった。
初めて会った時もそうやったけど。
「先輩のお名前は何とおっしゃるのですか?」
「あ、言ってなかったね?
織田遥って言うの。
よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「さっきの子、会った事ある?
めっちゃ面白くない?」
「サッカーサークルの歓迎会の時にお会いしました。
面白いかはよく分かりませんが、いつも可愛い女の子と一緒にいらっしゃいます。」
「そうなのよねー。
でもああ見えて臆病ヘタレ純粋ボーイなのよ。」
織田先輩もかなり與那城先輩と仲が良さそうやった。
「あ、ごめん!次必修科目だった!
もう行くね!講義棟行く?」
「いえ、寮に帰ります。」
「そっか。じゃあまたね!」
そう言ってバタバタと講義棟の方へ消えていった。
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ASide 回想終了
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作者名:ののん | 作成日時:2020年5月13日 22時