彼女は俺の筋肉以外の秘密を知っている３ (ページ3)

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報告　３ページ3

「奨くん、おめでとう！付き合い始めたんだってー？」

サッカー場の隅っこで、ストレッチをしていると、織田先輩がいつものサッカー場に響き渡る高い声でやって来た。
俺は慌てて立ち上がった。

「先輩、もう少し静かに話してください。というか、何で付き合い始めたの知ってるんですか？」

「私の情報網を甘く見ないでよ。」
織田先輩がウインクをした。

「ほんと、たまに織田先輩こわいです。」

「まあまあ。本当よかったじゃない。」

織田先輩が俺の背中をバシバシと叩いた。

本当に彼女と付き合えたことは嬉しかったけど、お昼の彼女の様子を見ると、手放しで喜ぶことが出来なかった。

俺は感情が顔に出ていたようだった。

「何？浮かない顔して？
何かあったの？」

織田先輩は１つの表情の変化も見逃さない。

「いや…。『俺の隣を歩きたくない』ってどういう意味だと思いますか？」

「え？彼女にそんな事言われたの？」

「いや、何か理由があると思うんですけど、理由が分かんなくて…。」

「えー。嫌われてんじゃない？」

グサッ

織田先輩の話が７割、冗談で出来てるのは分かっていても、今の俺にとって『嫌われてる』という言葉は一番辛い。

「じゃあ何で嫌いな人と付き合うんですか。」

「うそうそ。冗談よー。
何だろう？付き合うのが初めてで恥ずかしいとか？」

「ああー。」

それだったら気持ち的には及第点…

「てか、前回も言ったけど、本人に聞いて見たらいいじゃない。」

「そうですね。」

「ほんとこれだから、臆病ヘタレ純粋ボーイはさあ。」

俺は織田先輩の言葉にピンときた。

「臆病ヘタレ純粋ボーイって言葉、流行ってるんですか？」

彼女に告白したとき、彼女が俺のことを『臆病ヘタレ純粋ボーイ』と呼んでいたけど、どこかで聞いたと思ったら、織田先輩の口から聞いたんだった。

「別にー。流行ってないけど、奨くんのことを形容するのにはピッタリな言葉よね。」

「前、Aちゃんも俺にそんな事言ってた気がするんですけど、気のせいかな。」

「えー、知らない。
気のせいなんじゃない？」

織田先輩が誰かに呼ばれた。
マネージャーだった。

「はいはいー！」と言って、
織田先輩は１年生のマネージャーと部室の方へ消えていった。

確かに、明日俺のライブがある。
きっと彼女は来てくれるだろうし、そのときに聞けばいいか。