※※Your Side※※ ページ17
たくさん人が集まるところは苦手や。
沙羅に連れられてサッカーサークルの歓迎会に来てみたはいいけど、知らん人が多すぎてビビった。
沙羅は社交的で、初対面の人ともにこやかに話すことができた。
一方の私はそうじゃなかった。
でも目の前にあるポテトフライの山を見ると、
ちょっとぐらいここにいてもええかな、と思えた。
『ヨナシロクン』はサークル長をやってるみたいで、キビキビ動いていた。
予備校の受付やった人は…
辺りを見渡してみたけど、おらんみたいやった。
『ヨナシロクン』の挨拶で歓迎会が始まり、
学生会館が人々の話し声で溢れた。
私はとりあえず、ポテトフライを真剣に食べた。沙羅は横で色んな人と話してるみたいやった。ちょこちょこ私の紹介もしてくれた。
「カンパーイ！
色んな人と話せてるかな？」
『ヨナシロクン』が来た。
こんなに間近で『ヨナシロクン』の顔を見るのは初めてやった。近くで見てもイケメンやった。『臆病ヘタレ純粋ボーイ』と言って割には
女の子の扱いに慣れたような話し方に思えた。
それがなんとなく鼻についた。
「與那城奨だよ。
経済学部の３年生で、
ここのサークル長をやってます。
君たちは何て言うの？」
「私は、金原沙羅です。
外国語部です！
こっちは山本Aです。
この子は社会学部です。」
「沙羅ちゃんにAちゃんね。
沙羅ちゃんとAちゃんはもともと東京出身なの？」
名前で呼ぶんか。
なんやねん、慣れとるやないか、と少しツッコみたくなった。
「いえ、私たち幼なじみなんですけど、
大阪から来ました。」
「へえー確かにちょっと大阪弁のイントネーションだね。」
「敬語だからあんまり出ないですけどね。
ヨナシロ先輩は沖縄出身ですか？」
「よく分かったね！
そう。沖縄出身だよ。」
「名前が沖縄っぽかったんで。
漢字どう書くんですか？」
「えっとねー、
与えるの旧字体に、沖縄のなに、キャッスルの城だよ。」
沖縄のなって何やねん。
「沖縄のなではなく、那覇の那ではないでしょうか？」
私がすかさず指摘した。
「あ、そうだね。
那覇の那だ。」
「沖縄は縄です。」
「この子、ホンマに真面目なんです。
許してあげてください。」
「沙羅が真面目じゃないだけです。」
私は沙羅が私の口を塞ごうとしたのを上手くかわした。
声が大きい先輩に呼ばれて『ヨナシロクン』は去って行った。
只のイケメンやん。
私はまたポテトフライに夢中になった。
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年5月13日 22時
