異世界に来ちゃった話 【stpr】

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お城にいる間に体感時間よりはるかに速く時間は進んでいて、外に出るともう暗くなっていた。


昼の空にもあまり明るさはなく、どんより曇っていたが、夜になると空の色が灰色から暗い紫に変わり町にはオレンジの光が灯ってまるでハロウィンのような色合いの夜景だった。


私たちはお城を出て少し歩いた先にある四角い建物に向かう。


あれからなーくんとさとみくんは“アリス”について調べるために図書館へ行ったらしい。





今いるのは私ところんくん、莉犬くん、るぅとくん、そしてカギを持ってきてくれたジェルくんだ。



こ『ここが僕らの住んでるレジデント・キャッスル・マンションだよ！』


前を歩いていたころんくんがこちらを振り返って目の前の建物を指差す。





「ここには6人で住んでるんですか？」


る『そうですよ。ここは住人側の王家と王に信頼を得た上位者が住めるマンションなんです。

僕と莉犬はトップ・オブ・アカデミアとして、なーくんは王家として、他の3人はもともとトップ・オブ・アカデミアで今でも信頼を得ているので。
ここには6人で住んでます。』



「そうなんですか…。」





6人が改めて凄い人達だと認識する。

私のような普通の人がこんな所に住んでしまって大丈夫なのかと思ったが、道端では寝たくないから受け入れるしかない。




紹介されたその建物は外見から圧倒される豪華さだった。


入口の上には赤色看板に金色の文字で“レジデント・キャッスルマンション”と書かれている。

壁は石っぽくできており、そこに巻き付くつる草や、窓から覗く黄色い光と赤いカーテンがおしゃれだった。




ごくりと唾をのみ4人に続いて中へ入ると、外観を越える内装の豪華さに驚いた。

タイルの床はぴかぴか光って顔が映るし、通路の中央に敷かれている真っ赤なカーペットは金糸で刺繍され心地よいくらいにふかふかしている。

おまけに天井にはきらびやかなシャンデリアが輝いていた。




外から見るとそこまで大きく感じなかったが、いざ中へ入ると想像の倍近く広い。




4人は毎日ここで過ごしているのだから普通なのは当たり前だが、小さな頃から極一般の一軒家で育った私にはありえない家。

まるで絵本の中のプリンセスのお城をそのまま小さくしたようだった。



その凄さに圧倒されていた私はゆっくり息をはいて心を落ち着かせる。

すると、4人は既に10歩辺り先を歩いていて慌ててその背中を追いかけた。

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