思い上がり甚だしい ページ5
Aはとても興奮していた。
彼女は前世で熱狂的な『チェンソーマン』のファンだった。特に、ミステリアスな雰囲気、立ち居振る舞いや言動、更にはその出鱈目な強さを持つマキマは、Aの好みの女性ドンピシャだったのだ。
そんなマキマさんと、私は同じ能力を持ってるんだ……。
興奮を落ち着かせようと、彼女は大きく深呼吸をしてから手の甲で汗を拭った。そしてAに持たせられたエコバッグを見て、ようやく頼まれていた用事を思い出す。
「お、お使い行かなきゃ」
未だ少しばかり震える足で、Aはスーパーへと向かったのだ。
＊
Aは夕飯用のカレールーを手に取った時も、納豆をカゴに入れている時も、どの野菜が一番美味しそうか悩んでいる時でさえ、頭の片隅では前世の自分の事と今自分が使える能力、そして今世の世界のことをぐるぐると忙しなく考えていた。
それでも、あの一本道を歩いて家に帰るまでにはなんとか考えを整理することができた。
自分自身は、『チェンソーマン』に登場する支配の悪魔であるマキマの能力を持って生まれた事。
彼女が作中使用した他の悪魔の能力も使用できるから、マキマが交わした全ての契約もおそらくA自身に引き継がれているだろう。
前世のAと、今世のAにそこまで性格の差異はない事。
前世はオタ活に勤しんでいたが、今世も気の合う友人二人と共にアニメの話題や、イラストを描き合ったりしている。そして相変わらず内向的だ。
そして、この世界は『ハリー・ポッター』の世界線である事。
彼女の通っているマホウトコロの存在でわかった。
Aは原作小説と映画を前世の小学三年生の頃にそれぞれ一度観ただけなので、大まかなストーリーの流れはうろ覚えだが、主要キャラの死は衝撃的だったのでそれだけは頑張れば思い出せる。
ここまでの情報をなんとか家に帰るまでに整理して、彼女は見当違いにも程がある考えに思い至ってしまった。
私はマキマさんに成り代わる為に産まれてきたんだ！ と。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
