騒がしくなるコンパートメント内 ページ17
「ほんとかい？ このコンパートメントにハリー・ポッターがいるって、汽車の中じゃその話でもちきりなんだけど。それじゃ、君なのか？」
Aはその時、ハリーをまるで動物園にいる動物みたいだと思った。ちょっと笑いそうになったが、なんとかポーカーフェイスをこなす。
訪れて来たプラチナブロンドの少年は、ドラコ・マルフォイだった。作中でやたらとハリーに嫌がらせをしていたのでAはよく覚えている。
ドラコは彼の両脇に、まるでボディーガードのように佇んでいる二人のことを紹介して、自分の名前を告げた。
「僕がマルフォイだ。ドラコ・マルフォイ 」
ロンはドラコの名前を聞いて吹き出したのをなんとか咳払いをして誤魔化そうとしたが、時既に遅し。
ドラコはロンへと鋭い視線を向けた。君が誰だか聞く必要もないと言いながら、ロンの外見的特徴からウィーズリー家であることを当てた。
「ポッター君。そのうち家柄のいい魔法族とそうでないのとがわかってくるよ。まちがったのとは付き合わないことだね。その辺は僕が教えてあげよう」
ドラコはハリーに手を差し出したが、ハリーはその手を握り返さなかった。それどころか、ドラコのことを冷たく見据えながら言った。
「まちがったのかどうかを見分けるのは自分でもできると思うよ。どうもご親切さま」
＊
その後は彼らはお互いをお互いの敵だとみなしたようで、ただひたすらに口論を繰り出していた。
これ、私空気になってない？
Aは内心そう思いながら、若干思考を飛ばしていた。『この口喧嘩、私が止めるべきなのだろうか』と。
Aが再び現実に目を向けたのは、ゴイルが悲鳴を上げてからだ。手元を見れば、スキャバーズが指に噛み付いていた。
マルフォイとクラッブは数歩後退りした。ゴイルがどれだけ悲鳴をあげても振り回しても、一向にその手から離れようとしないスキャバーズに、Aはとうとう口を挟むことにした。
「スキャバーズ。今すぐやめなさい」
コンパートメント内は一気に静かになった。
ドラコがやって来てから一言も話さなかったAが口を開いたからでもあるし、スキャバーズが驚くほどあっさりとゴイルの手を解放したから、暴れ回っていたゴイルがピタリと動きを止めたからでもあった。
止まっていると錯覚する程の空間の中、スキャバーズだけは地面に向かって垂直に落ちていった。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
