杖選び ページ11
結局ハーマイオニーはその後三回ほど杖を振り、蔦のような模様が装飾された綺麗な杖に選ばれた。
三人を老人──オリバンダーは見送って、ようやく隅の方でロングコート片手に、トランクケースを足元に置いたAへと向き直った。
「いらっしゃいませ。お待たせしてしまって申し訳ありません。お嬢さん、お名前は？」
「A・Aです」
「ほう、名前の響きからして日本からの留学生かな。これはこれは、珍しいものじゃ。どちらが杖腕ですかな？」
「右です」
そう言ってAは右腕を伸ばした。
オリバンダーは肩から指先の長さから始まりあちこちを測り始める。ある程度満足したのか巻尺を古ぼけた椅子の上に置いて、棚から杖の入った箱を取り出しにいった。
＊
結局Aは七回ほど杖を振り、桜の木でできた杖に選ばれた。
店を出る直前にその杖を振り、杖選びの際に破損させてしまった店のあちこちを直してから店を出る。実は『西洋魔法史』の授業は選択していなかったものの、Aや土御門、そして使用人から杖を借りて、三人に魔法に関してあれこれ教えてもらっていたのだ。
オリバンダーは十一歳の子供が簡単に詠唱なしで魔法を使ったのと、売った杖が初っ端で見事に魔法を成功させたのとに感心して、嬉しそうに深く頷いた。
「ありがとう、お嬢さん。素晴らしい腕前だ。だがしかし、学校の外では魔法を使うのを禁止されておるので今後は注意することじゃ」
……そういえばそんな設定あったな。
オリバンダーからの言葉に、その辺りの決まり事をぼんやりと思い出す。
なんせAは既に一人前の陰陽師として認められていたので、マホウトコロや他の陰陽師の許可がなくとも、その場の状況次第で自由に魔法や陰陽術を使用していたのだから、すっかり忘れてしまっていた。
「すみません、今後は注意します。素晴らしい杖をありがとうございました」
そう言ってAは店を後にした。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
