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「ここをお好きに使ってください。どうせすぐ帰るんでしょうけど」
案内された部屋には既に布団が敷かれており、歓迎されているのかどうなのか。いや、歓迎なんていうものではないことは明らか過ぎるのだが、それでもこうして準備されているとホッとする自分がいる。
全く、鬱陶しいこと極まりないな。
まあ布団に入る気など更々ないのだが、礼は言っておかないと罰当たりだろう。形だけでも。
「ありがとうございます」
「……どういたしまして」
そんな事思ってないでしょ、と言うような顔をされたが敢えて無視していくことにした。一々突っ込むことではないでしょ。
「じゃ、アタシはもう寝るんで」
ふあぁと欠伸を隠そうともしないでさっさと部屋を出ていこうとする彼に、お休みなさーい、と声を掛ける。
するとピタリと足を止め彼はこちらを振り向いた。
「……少しは寝てくださいよ」
「寝てるよ、ちゃんと」
「どうだか」
見透かしてくるような視線にドキリとする。まぁ、さすがにもうバレていても可笑しくないとも思っていたけど。今までこんなこと言われたことなかったから、少しだけ驚いた。
もう少しだけ気付いていないフリをしていようかな。
「心配?」
試すようにそんな問いをしてみるけど鼻で嗤うように
「まさか」
と言ってくるものだからつまらない。
「なんだ」
「心配されたいんスか?」
「別に?」
「でしょうね。ま、どうぞごゆっくり」
「はいはーい」
障子戸を閉める時にちらりと見られた気がする。何をそんなに気にしているのか。そんな眼をされると、何か起こりそうじゃんか。
彼の含みのある視線に胸がざわざわするが、あまり気にしないでおこう。
さて、これからどうするかな。
時刻は午前三時前。この時期だと日が昇るまで最低二時間程度はあるだろう。
……"お話"でもするか。
***
別に、ここも楽しい所ではない。
殺風景……というより、もはやほとんど暗闇だ。だだっ広い真っ暗闇の空間の中心にポツンとある一つの灯。たったそれだけでこの世界は完結している。
ここの主が如何に根暗な奴か分かる。
「それ、お前が言えないからな」
「あんたよりまし」
「相変わらず口の減らねぇガキだな」
「相変わらず頭悪そうな口のきき方ね」
ハァと盛大なため息をつくこいつ。
でかい図体に大きな黒い両翼、面の下から覗く嘴。近いのはそうだな、烏天狗とか言うのに似た容姿をしている。名前は「
私の斬魄刀。
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ぎるたん - シグさん» お返事遅くなりすみません。 コメントありがとうございます。浦原さん選んで良かったなと思いました笑。 完結まで頑張りたいと思います! (2020年4月20日 1時) (レス) id: abc690efab (このIDを非表示/違反報告)
シグ - 面白いですね!?僕は浦原さん好きなので…応援してます!頑張ってください! (2020年4月17日 19時) (レス) id: b759b643e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぎるたん | 作成日時:2020年4月13日 1時