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五十三話 やっと会えた ページ5

「晋助....さん?」


小さい頃こうやって一人で泣いていればあなたは涙を拭いてくれた


「会いにきてくれたんですね」


手を伸ばせば優しく強く握ってくれる


「A」


いつもこうやって安心させるように名前を呼んで
優しく頭を撫でてくれた


その見落としてしまいそうな優しさを持つ人に私は何度も救われたんだ。


月光に照らされ十年ぶりに見た彼の顔は左目を包帯で覆われていた

もう見えないのなら整える必要もないだろうとでもいうように前髪が伸びている


手を伸ばし閉じられた彼の目にそっと触れる


きっとこの傷は戦で負ったもの


それほどあの戦いは激しく酷いものだった

あれから十年が経っても変わることなく傷は残り続ける

身体だけでなく魂も


先生を、みんなを護るために必死だった証


「.....痛みますか」


晋助さんはなにも言わずに首を横に振る


既に癒ているであろうに包帯を取らないのは

魂が癒えることはない、そういう意味なのだろうか


この人は今までどれだけの傷を負ってきたのだろう。


攘夷戦争の結果は我が国のように堂々と歩く天人を見ればわかる。


先生がいたあの日常を取り戻そうと剣を取った彼らは

たくさんの仲間を失ってきた

先生もきっと.....


三人がくだらないことでケンカして、

それを私と先生が見ていた生活は戻ってくることはなかった


それでも


「今まで待ち続けて......生きていてよかった」


今一番に思うことはそれだけ


取り戻せたものがなにもなくても

失うものばかりだったとしても



『必ず帰ってくる』


その約束を護ってくれた


もう会えないだろうと何度も諦めようとしていたのに

会いたいと願い続けてよかった

やっと会えた

私のところへ帰ってきてくれた


「おかえりなさい、晋助さん」


どれだけの後悔が自分の魂を呪っていたとしても

生きていたからこの言葉を言えるんだ

五十四話 ごめん→←五十二話 なにもできなかった



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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 23時

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