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【番外編】光を見る人 3 ページ20

「そうですか。晋助さんはみんなから好かれていたんですね」

安心したように、柔らかにAは笑顔をみせた。

その暖かい光を感じた似蔵は閉じていた目を見開いく。

「.....あの人の光はいつも不安定で攻撃的だった。
だがたまに安定しない中にふっと穏やかな光を出すことがあってね」

似蔵さんは言葉を続ける。

「修羅の道を生きる俺らには似つかわしくないと不思議に思っていた。

でも今、アンタの花のような光を見てわかったよ

あの光は誰かを想う気持ちだったんだ」


俺らの総督はお嬢ちゃんのことを大切に想っていたんだね。


その言葉を聞いたAの瞳からは涙が溢れでていた。

十年間、想い続けていたのは私だけだと思ってた。もう私のことなど気にも止めていないものだと。

だけど彼も私のことを思い出していてくれていたなんて嬉しくてしょうがない。

止まらない涙を袖で拭いながらそっか、そうだったんですね と笑うA。
似蔵は何も言わずに頭を撫でていた。









しばらく経ち夕焼けが沈む頃、似蔵さんはすくっと立ち上がりそろそろいくよと言った。

「次は三味線がうまい奴を連れてくるよ
その時は三人で呑もうかい」

はい、待ってますねと言葉を返したAは手を振り見送った。





似蔵と同じ人斬りを迎えにいく道のり、彼は思う。

高杉という篝火を護るためだけに火に飛び入ることも厭わないでいた。

なのにいつまでも後ろでキラキラと光る目障りな奴らが邪魔だった。
先程会った女も似たような光を持っていた。

だが彼女の持つ光は心地よかった。
花のような穏やかで、どこか切なげな光。

「クク、俺も弱っちまってるのかねぇ」

人斬りしかしてこなかった自分が“花のよう”なんざ言うようになったとは。我ながら呆れる。

こんなになっちまうってんだからあの人にとっての彼女はどれほど魂を癒してくれていたのだろう。

「そんな存在が鬼の総督にいたとはねェ」

生きていた頃は想像もしなかったよ

アンタは知っていたのかい、万斉


歩みを進めるうちに見えてきた三味線の男に似蔵は微笑みを浮かべた。


−−−−−−−−−−

似蔵さんと主人公の共通点はどちらも高杉晋助という人物を愛していたということです。

そんな二人の会話を楽しんでいただけてたら幸いです。

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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 23時

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