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お昼。
来客の莫大な数は、文化祭一日目のピークを示して居た。
最早廊下が膨らみそうな混み具合の中、此方迄勢いに乗ってしまいそうな喧騒にもビクともしない声が響き渡る。
「美味しいっ!?」
「はい!とても!」
目の前でにこにことコテを握り締める葉山先輩に、私も負けずと声を張り上げた。
「もう、ソース掛け過ぎよ。カロリー摂取し過ぎちゃうじゃない」
「おい、俺の肉の配分少なくねぇか」
「あーもう、文句言うならどっか行って!!」
あはは、と苦笑してまた一口頬張る。
一般客の注目を集めるのは、勿論五将の三人。葉山先輩に誘われ、私もお昼を一緒にお邪魔させて貰ったのだ。
傍らには、騒がしく言い合う三人等御構い無しに口を動かす人が一人。関わらない様にしているのか、無心にお好み焼きをカットする姿は些かシュールにも見える。
其の人物こそ、葉山先輩にサービスするからと無理矢理連れて来られた黛先輩である。
三年生はクラス主催の物こそ無いが、一定以上の成績で有れば部活や委員会の出し物に参加が可能だ。練習試合の後瞬く間に帰ろうとした彼は残念ながら捕まえられたらしい。
「黛先輩、今日のプレイ格好良かったです」
「未だ『見える』のか」
不機嫌そうに彼は手を止め答える。少なくとも周りに居た観客やテレビには見えてませんよ、と伝えると本日初めての笑みを浮かべた。若干口角が動いただけだが、大丈夫笑ってる。
「みーなみっ、俺はっ、俺は!?」
「葉山先輩も勿論大活躍でしたよ!」
言い争いが終わったのか、葉山先輩がシフトを抜けて私達の座る席へとやって来た。続いて実渕先輩、根武谷先輩も腰を下ろす。
「一人で突っ走り過ぎよ、あの一年生にスティールされちゃって情け無いわね」
「お前スクリーンアウト下手だよな、相手の方が背低いのにリバウンド取れてねぇし」
「煩いなぁ、二人とも!!」
俺は南と話すのー!、と二人に舌を出して葉山先輩は私を振り向く。
そう言えば、と彼が話を切り出す。
「ねぇ今日柳原居なかったね」
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nome(プロフ) - あまねさん» 返信大幅に遅れて申し訳ありません。楽しみにして頂けてとても嬉しいです!更新はのんびりとお待ち下さいm(__)m (2018年3月18日 11時) (レス) id: 981a85eb0c (このIDを非表示/違反報告)
あまね - この作品大好きです(*^^*)更新を楽しみに待っています!! (2017年5月7日 19時) (携帯から) (レス) id: 743e4dcd22 (このIDを非表示/違反報告)
nome(プロフ) - みずあいすさん» そうなんですね!仲間だと知れて心強いです(`・ω・´)私は行きたい大学がありまして、かなり難関なので気合いを入れたくて(笑)お互い頑張りましょう〜!! (2017年4月6日 20時) (レス) id: 1efffa79be (このIDを非表示/違反報告)
nome(プロフ) - こうちゃさん» 繊細……!勿体無いお言葉です、有難う御座います!何時もコメントに励まされておりますm(_ _)mお待ち頂ける事が最大限の励みです……!受験勉強に精一杯挑んで、戻って参ります!! (2017年4月6日 20時) (レス) id: 1efffa79be (このIDを非表示/違反報告)
みずあいす - 私も来年受験生です。辛い……。勉強とか考えてなかったので、正直現実を叩き付けられました、ありがとうございます。幸せなエンドを迎えられることを祈って!頑張ってください! (2017年4月5日 21時) (レス) id: 94c5760bdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nome | 作成日時:2016年8月8日 16時