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『ねぇ、部活の休憩時間って話し掛けても良いのかしら』
『差し入れはやっぱり甘い物よりスタミナがつく方が喜ばしいの?』
『征十郎の好みのタイプは品のある人らしいの。品の身に着け方教えて』
最後のお願いは多分他を当たった方が確実だが、全体的に相談内容が具体的で、明確だった。
其の分アドバイスもし易いし、解決策が提示出来る事は大きい。
……………………けれど、やっぱりごわごわする心中は、
「南さん交代だよ、お疲れ様」
「お疲れーい」
最近頻繁に訪れる負のループに入りかけた其の時、現実感溢れる声が掛かった。はっと意識を取り戻すと、掴んでいた胸元の力を緩め目の前の人物二人を見つめる。
「……伊東君と梅ちゃん」
若干消失感が漂っていたらしく、気分を盛り上げようとしてくれたのか二人は顔を見合わせ頷くと、私に明るく話し掛けてくれた。
「え、暗い顔してるけど受付ってこんなに疲れるっけ」
「そんなAには買って来たチュロスを差し上げよう」
「…………有難う」
二人の暖かさにじんわりと心に灯りが広がる。遠慮無くチュロスを受け取り、初めに一口。甘いシナモンがふわりと口の中で溶けて行く。
追い詰めた表情珍しいね、大丈夫?と小声で尋ねた梅ちゃんに、心配掛けた事が申し訳なくて謝った。ゆっくり休んで、話後で聞くよ、と見送られ他のクラスメイトもシフトチェンジに集まったのを機に教室を離れる。
「(他人にも分かる程表情に表れていたのか)」
来客や生徒でごった返す廊下を一人歩く。がやがやとした周囲も何処か遠くに感じられた。
普段基本にこにこしている私は、暗い表情を見せまいと奥底に隠している。勿論其れは故意で、お陰様で猫被りと言われながらも何かと不便無く生きて来た。
他人に心配される事何て滅多に無い、のに。
どうしたのだろう、私は。
部室の前に辿り着き、扉を開くと同時に一先ず嫌などろどろを全て打ち払う。
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nome(プロフ) - あまねさん» 返信大幅に遅れて申し訳ありません。楽しみにして頂けてとても嬉しいです!更新はのんびりとお待ち下さいm(__)m (2018年3月18日 11時) (レス) id: 981a85eb0c (このIDを非表示/違反報告)
あまね - この作品大好きです(*^^*)更新を楽しみに待っています!! (2017年5月7日 19時) (携帯から) (レス) id: 743e4dcd22 (このIDを非表示/違反報告)
nome(プロフ) - みずあいすさん» そうなんですね!仲間だと知れて心強いです(`・ω・´)私は行きたい大学がありまして、かなり難関なので気合いを入れたくて(笑)お互い頑張りましょう〜!! (2017年4月6日 20時) (レス) id: 1efffa79be (このIDを非表示/違反報告)
nome(プロフ) - こうちゃさん» 繊細……!勿体無いお言葉です、有難う御座います!何時もコメントに励まされておりますm(_ _)mお待ち頂ける事が最大限の励みです……!受験勉強に精一杯挑んで、戻って参ります!! (2017年4月6日 20時) (レス) id: 1efffa79be (このIDを非表示/違反報告)
みずあいす - 私も来年受験生です。辛い……。勉強とか考えてなかったので、正直現実を叩き付けられました、ありがとうございます。幸せなエンドを迎えられることを祈って!頑張ってください! (2017年4月5日 21時) (レス) id: 94c5760bdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nome | 作成日時:2016年8月8日 16時