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……う、わ。

足が震えて、上手く立てない。歩き出した相手の後ろ姿をただひたすら眺めていた。





洛山だ。ここは。





今から練習だろうか。うわ、見たい。観たい。

ドキドキ、と胸が高鳴る。

興奮が収まらないまま、再びスマホを取り出した。







“よっす”


コール音の後に出たのは、従兄弟の内の一人。
メールも無しにいきなり電話かけて来るなんて珍しいじゃないか、と彼は言う。

そんな彼__『はる兄』に向かって、私は構わず口を開いた。


「……はる兄」
“んーなんだー?”
「……会った。会ったの」


お気楽な調子の彼に、まくし立てるように話しかける。

__そう。私は、会ってしまった。








「実渕、玲央先輩に」








電話口の向こうから、息を飲む音が聞こえる。
彼は声を一トーン落として返答した。




“……夜叉か”




実渕玲央先輩。

洛山高校二年生、男子バスケ部一軍。無冠の五将の一人、ポジションはSG(シューティングガード)。

通称、『夜叉』。



「たまたま、会えたの」
“話したのか?”
「ううん、ぶつかりそうになっただけ」
“おい気を付けろよ”
「……ハイ。善処します」



そうか、と彼は呟いた。




“良かったな”



「……うん」




ずっと念願だった洛山高校に、はる兄は昔通っていた。
今は彼ももう立派な大学生で、東京で暮らしている。



“ってか、時間平気なのか?”
「……え?」



言われて時計を見る。



……此れは酷い。



急がねば。





「ごめんはる兄、また後で!」
“っおいA、”
「失礼しますー!」





ごめんなさい、遅刻の危機です。

迷子にならなければ大丈夫だと願いたい……!

そう思いながら私は歩調を速めたのだった。

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nome(プロフ) - 律。さん» コメントありがとうございました!赤司君と絡むのが遅くてすみませんm(_ _)m頑張ります。 (2015年6月16日 20時) (レス) id: 6a7654f1e9 (このIDを非表示/違反報告)
律。 - はじめまして。赤司君とこれからどう関わっていくのか楽しみです。更新無理せず頑張ってください!! (2015年6月14日 17時) (レス) id: f3d528ae0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nome | 作成日時:2015年3月31日 20時

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