夏休みを永遠に ページ36
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うわー，俺，やっちまった？
いやだって，今自信たっぷりに
「ノーって言わないやつ」って…
やっぱ相思相愛だったんだって思うじゃん。
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「そっち？」
苦笑気味のAは
「と言いますと？」
目をパチパチとして、完全に戸惑いの表情。
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「うふふふふ。翔くんたら，もー…。
わかった，私も言っていい？」
「はい」
何言われんのかわかんねーけど。
「翔くん」
「なんでしょう」
「好きです。」
え？
「ちょっと待って」
「待ちません。
翔くん，付き合ってください。」
「はあ？」
「だってー，まさか交際期間なしにプロポーズされると思わないじゃない」
あーー
ですよねー
思わず頭を抱えた俺の手を，Aがキュッと握りしめる。
「ちょっ……もっかい最初からやりなおしてぇー」
「いいじゃない，結果は一緒なんだから」
いや，そうかも知んないけど
ビシッと決めたかった俺の気持ちは？
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「ね，じゃあさ。帰国してもしばらくは一緒に住むってことでいい？」
気を取り直して聞いてみる。
「翔くんはいいの？」
「いいよいいよ，つーかもうちょっと部屋を片付けます。」
「すみません，お世話になります。」
「お世話しましょう。
でさ，半年後，なんだけど…」
「うん」
「一緒にまたボストンに来てくれますか？」
「うーん，そうね。前向きに検討します」
「はあ？」
そこは即答でイエスだろ。
「だってー
そりゃあもちろん翔くんと一緒なら生活困らないだろうけどさ…」
「うん」
「私だって自分の力で歩いてたい。
そして，翔くんを隣で支えたいよ」
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「だからもしこっちで仕事見つけたらね？
そしたら一緒に行こ？」
そうだった。
思い出した。
こいつはいつだって，こういう強さがあった。
そして俺は，そういうAに惚れたんだ。
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「ごめん。
…なんつーか，逃したくなくて気が急いた。」
「ふふ，翔くんてほんとに鈍いのね」
はい？ ってゆーかそれ，朋子おばさんにも言われたばっかりなんですが
憮然としてつい，グラスに残ったワインを一気飲み。
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「今までこんなに待ったのに，もう今さらどこにも逃げません」
「え？」
慌ててグラスを置いてAの顔を見あげると
にっこり笑ったAの瞳から
ぽとりと一粒，涙が落ちた。
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