自惚れ？ ページ31
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おばさんは，俺が名乗るとすぐにわかってくれて
「あらぁ，翔くん，元気だった？
Aがお世話になってるのに私の方からご挨拶しなくてごめんなさいね。どお？あの子，迷惑かけてない？」
話すのが５〜６年ぶり，とは思えない勢いのマシンガントーク
「あ，いや，俺の方こそ世話になってて。
うまい飯食わせてもらってます」
「えー，そうなの？ あの子，料理なんてできたの？
嫌だわぁ，もっと色々教えとくんだったわ。大学から海外行っちゃったでしょ？ずっと心配はしてたんだけどね？」
「いやいや，もう全然。すぐにでも嫁に行けますよ」
「まーた，そんなこと言ってー。貰ってくれる人がいるならね」
電話口で笑うおばさんの声に，
今更ながら自分が落とした爆弾に気づく
「…あのー，ですねぇ」
「ん？」
「あ，いや」だの，「そのー」だの繰り返した挙句
「その，嫁，の話なんですけどね？」
ほんと，俺。
突然電話かけて来て何言ってんの？
って思われんだろうな，絶対。
「んん？」
「もし，そのー
Aを，くださいって言ったら
……怒られますかね？」
「誰が言うの？」
「俺，です」
「え！誰に言うの？」
「おばさんにです」
つーか，たった今言ってんだけど！って
半ばキレそうになるのをじっと堪えて返事を待つ。
「……怒るんじゃない？」
がーん。
と頭の中で大きな音がした
心のどっかで，喜んでくれんじゃないかって
昔っから俺のこと可愛がってくれた人だからって
自惚れてたのかもしんない
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