恋人ごっこ ページ18
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翌週は一日おきに外食と，Aの飯とを食べた
お互い気は遣わない，と約束した手前
家で食べたい時は遠慮なくそう言ったし
Aが言うところの「恋人ごっこ」を
俺自身 少し楽しんでる自覚はあったけど
あんまりずっと一緒にいると
余計な気持ちが増えていってしまう気がして
敢えて半分は中島を付き合わせた
木曜も，今夜は仕事が遅くなりそうだと
早々に「今日は食って帰る」とメールを送った
ちょっと返事が返ってこないだけで
今頃なにやってんのかとか考えてる自分がいる
うちに帰るとAは
またリビングで，電気をつけっぱなしで寝ていた
Aを抱えてそっと部屋まで運ぶ
せっかく寝付けたのに起こしたら可哀想だから
そーっと，そーっと。
布団に静かに下ろしたところで
Aがピクリと動いたからやべ，と思わず呟いたけど，
またすぐに，すぅすぅと寝息を立て始めた
俺が物置にしてた頃から格段に綺麗になった部屋で
しばらくの間 Aの寝顔を眺めていた
そのあどけない表情が子供の頃を思い出させて
なんだか無性に胸が痛くなった
眠れなくてリビングでもう一度ビールを開ける
机の上には不動産屋の封筒
俺との約束を守ろうとしてるだけなのに
寂しいと思ってしまうなんて，勝手。
翌金曜の朝
珍しくAが起きてこなかった
体調でも悪いのかと心配になり部屋のドアをノックしてみるけど，返事がない
「開けるよ？」
一応声をかけて中を覗くと
布団から頭半分だけ出して「おはよ」と答えるAがいた
「どした？体調悪い？」
「うん……昨日もちょっと胃がむかむかしてたんだけど
ちょっと熱っぽい気がする」
どれどれ，と隣にしゃがみこんで額に手を当てる
「確かに…，38.2度ってとこ？」
「え，体温計なくてもわかるの？」
「ん？適当。つーか，ウチに体温計がない」
「……ヤブ医者」
「ははっ。で？……どっか痛い？」
「お腹痛い気もする」
結構辛そうに顔をしかめたから
「診ていい？」と布団を捲る仕草をしたら
Aは「え！やだ！」と布団の中に潜り込んだ
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