No.4 狐な神（一応）は狩りに向かう【ワールドトリガー】

百七十五匹目 ページ28

『にゃ〜』



とある施設の中を覗き込み、その窓をカリカリとひっかく。

やがて、施設内にいた人間が俺に気付き窓を開けた。



「あらアンタ、また来たの？」

『にー』



彼女は呆れたように俺に声をかけ、優しい手付きで俺を撫でた。

ゴロゴロと喉を鳴らしてそれに応える。



「何？ あんたまたお腹空かしてるの？」

『みゃあぅ』

「わかったわよ。

ちょっとここで待ってなさい」

『にゃっ』

「ちょっと！！」



彼女の言葉を無視して室内へ侵入する。

ふと、何かに映った俺の姿は黒猫であった。

面白半分に映った自分へ向けて にゃあお と鳴いた。



「何してるのよ」

『んに』



そんなことをしているとヒョイッと抱き上げられた。

そのまま抱っこされる。



「全く。

こんな所とりまる に見つかったらいろいろ言われちゃうでしょうが」

『みゅぅぅぅ』

「…………まぁ、今は居ないからいっか」



腕に抱かれ、頭を撫でられた。

そのまま移動して、冷蔵庫の中から牛乳を取り出す。



「ほら。飲みなさい」

『んみゃぁう』



目を細めてそう鳴き、皿に注がれた牛乳を飲む。


――今度来たときに猫に人間用の牛乳上げたらダメだって教えてやろう。


そう思いながら。

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