episode2-1 ページ3
今日は珍しくAが俺のところに押しかけては来ないまま、１日が終わろうとしていた。
朝気づくとAはすでに自宅を後にしていたので、俺も気にせずダンデを訪ね、昨日見たジムチャレンジャーの試合について談義し、日が落ちてきたところで帰っていたのだった。
そのダンデにもAが一緒じゃないことを突っ込まれはしたのだが。
「あ、キバナくんじゃない！ちょうどよかった！A見なかった？もうすぐ夕飯の時間だったのに、全然帰ってこないのよ」
Aの家を通り過ぎようと差し掛かった時、タイミングよくAの母親が家から出てきた。親子揃ってマイペースな性格をしており、Aと一緒にこの人にはよく世話になってきた。
どうやらAいまだに帰宅していないらしい。
「いや、今日は見てないっすね」
Aが俺をこのように誘わずにふらっといなくなる事はたまにある。ポケモンに夢中になりすぎて、俺のことすら眼前に入っていない時だ。それはそれで悔しい。
そんな時にあいつが向かう場所というのは限られているので、Aがどこにいるのかは大体見当がついた。
「俺、探してくる！」
「待ってキバナくん！」
すぐさま駆け出す俺を呼び止めたAの母親の声には少し躊躇いが含まれていて、振り向き見えたその表情も少し気まずそうな雰囲気があり、俺とは視線が合わない。
「なんすか？」
「あの子キバナくんに迷惑とかかけてない？……ほら、あの子ちょっと自分に正直と言うか、頑固というか、、キバナくんのこと振り回してばかりじゃないかしら？」
確かにあいつは馬鹿正直だし、自分の考えを曲げようとはしない頑固者だ。正直いっていつも振り回されているし、一時期Aよりもダンデと遊びたいと感じる事はあった。
「もうすぐジムチャレンジできる年齢になるからって、最近は一層ポケモンのことに夢中になっちゃってるでしょ？迷惑かけちゃってるのなら、わたしから注意しておくから、なんでも言ってね！」
そうAはもうじきジムチャレンジに参加する資格を持てるようになる。俺よりも先に。まあ、これは仕方のない事なのだが。
そのせいかAは俺たち幼馴染の中でも時にポケモンに対して熱を持っていた。
Aとは年齢も違うし、性別も違う。大人からすれば友達として不釣り合いかもしれない。
でも、それでも俺は…
「大丈夫！俺、A姉と遊ぶの好きだから！それじゃ！」
「よかった、あの子ちゃんと愛されてるのね〜」
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作者名：のーいふす | 作成日時：2019年12月1日 18時
