。流星の絆。2 (ページ37)

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「…すぅ…はぁ…」

学校終わり、電車やバスを使って…辿り着いた場所。

「カフェ…」

ﾁﾗっと上についている看板を見てみると、英語で名前が書かれていた。

「えー…しかも潰れてるよ…」

なんだか縁起が悪い。

緊張している自分を隠すためにそんな独り言を言いながら…ｶﾞﾁｬﾘとドアノブを回すと…古びた音を立てながらそのドアは開いた。

「…わ…懐かしい…」

自分のその言葉に…ほんの少し驚く。

懐かしい要素などどこにもない。

カフェだったものが全部残っており、日差しに照らされる店内は…アリアケとはあまり似ていない。

それに…もし似ていてもきっと自分は覚えてない。

だけど…入った時にお店の間取りなどを見て…心から"懐かしい"そう思えた。

とことことカウンター席にむかい、ゆっくりと椅子を引いて座る。

「…ここでお父さんがハヤシライスを作っててー…」

おにぃにわがままを言って作ってもらった"アリアケ"のハヤシライスが入っているお弁当。

おにぃには"誰にも食わすなよ。何かあったら危険だから"とくぎを刺されていた。

「…食べさせるわけないよ」

この味は…まだ私たち家族だけの味なんだから。

そっと瞼を閉じて…小さい頃の記憶を呼び起こす。

「お父さんがハヤシライスを作ってて…泰にぃはそのハヤシライスにうんざりしてて…そんな泰にぃをおにぃとお母さんが怒って…私としずは…仲良くハヤシライスを食べる…」

泰輔「またハヤシライスかよ!」

功一「文句があるなら食うな」

母「そうよ。お父さんのハヤシライスは歴史が…」

泰輔「はいはい」

静奈「おいしいね、A」

「うん!!」

「、…」

ﾊﾟｸﾊﾟｸと口にハヤシライスを口に含むと…自然と涙がこぼれてきた。

「わかんないよっ…」

おにぃも泰にぃもしずも…お父さんたちの仇を取るために燃えている。

でも私は…どこかそんな3人を外から見ていた。

おにぃ達を応援したい。ただそんな気持ちで。

「ぐず…なんでよ…」

なんで死んじゃったの。

もっと…もっと思いで作りたかった。

私も…お父さんのハヤシライス覚えてたかった。

"なんとなく"

じゃなくて…"はっきりと"

そんな時…急に重たいドアが開いた。