トリップしたらシルバーブレッドが敵だったなんて聞いてない2【名探偵コナン】

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その週の日曜日、少し風邪っぽいので隣の阿笠博士の家に薬をもらいに行くという沖矢さんに、私もくっついて行った。

アニメで同じみのボール型の奇妙な家が立っている。
まあ博士の家ってことは当然だけど……

「こんにちは、沖矢さんの同居人の亜土村藍里です」

「……こんにちは」

哀ちゃんがいるわけで。博士の後ろに隠れて、完全に私を警戒している模様。まあ、そうなるよね。

「風邪薬じゃったかの」

沖矢さんは無言で頷く。実は今日、一言もまだ言葉を交わしてない。
喉の調子がおかしいからだそうだ。

それにしても、さ。

「大丈夫ですか、沖矢さん。そんなんでトロピカルランド行けます？」

また無言で頷く沖矢さん。
そう、今日は沖矢さんと約束していたトロピカルランドに行く日なのだ。でも無理しない方がいいと思うんだけどな。

博士と沖矢さんは、そのまま奥へと引っ込んでしまい、何故か哀ちゃんと二人、リビングに取り残される。

「……お茶でもいれる？」

哀ちゃんが気を利かせてくれた。

「いいの？ ありがとう。いただきます」

精一杯の優しい笑顔で微笑むと、哀ちゃんは少しだけ顔を緩めて立ち上がった。

「紅茶でいい？」

「うん。哀ちゃん、偉いのね。まだ小学生なんでしょ？」

無論、彼女の正体は知っているが、無害な大人であることをアピールするため、ありきたりに褒めておく。

「……別にこれくらいどってことないから」

哀ちゃんがいれてくれたお茶を飲みつつ、リビングを見回す。
阿笠博士の家って、ちゃんと記憶になかったけど、こんな造りしてたんだ。家っていうより殆ど実験所に近い。

その時、私は気になる物を見つけた。机の角に無造作に置かれたそれは……

「あれ？ これって……」

赤い蝶ネクタイだ。コナン君がいつもつけているもの。なんでここに？

「それ、この前江戸川君が来た時に、ここに忘れて行ったの」

哀ちゃんがどこか慌てた口調で言った。

ふうん。てか、おいコナン。これは忘れたらダメなやつだろ！！ 事件解決できないだろ！！

ん、まだある……。
蝶ネクタイの他にも、黒い円形の……ネックレスか何か？

「違う、チョーカーだ」

でも不思議なデザインだ。なんだか複雑な幾何学模様があしらわれている。

「それはチョーカー型変声機よ」

チョーカー型変声機？ 蝶ネクタイの他にそんなものもあったのか。
ってことは、これも博士の発明ってこと？
なんでチョーカー？

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