story86 ページ47
「変声機?」
私が聞き返すと哀ちゃんは頷いた。
「博士の発明品で、それをつけたら声を別人に変えられるのよ。いっとき、ストーカーとか迷惑電話の対策で、近所の女の人には大盛況だったみたい。もっとも今は販売中止らしいけど、ね」
へええ。声を別人、にね。
確かにストーカー類の対策には効果がありそうだ。
そんなことを喋っていたら、博士と沖矢さんがリビングに戻ってきた。
「お世話になりました、阿笠博士」
沖矢さんがお礼を言って、お辞儀する。
「いやいや。不便をかけてこちらこそすまんかったのう」
ん? 不便? 不便ってなんだ?
「不便ってなんです?」
私が首を傾げると、博士が慌てたように「こっちの話じゃよ」と言った。
何故か博士をジトッとした目で見つめる哀ちゃん。怪しい。
「喉、もう大丈夫なんですか?」
私が沖矢さんか首元を指差すと、沖矢さんは軽く微笑んだ。
「心配かけて申し訳ありませんでした。もう大丈夫ですよ。それでは行きましょうか」
「おや、どこかに出かけるのか?」
不思議そうに聞く博士。
「そうなんですよー、実は沖矢さんにデートに誘われちゃって♡」
私はおどけて、沖矢さんの腕に自分の腕を絡ませる。
「ほぅ……若いとはいいもんじゃの」
すると不意に哀ちゃんに袖を引っ張られ、私はしゃがみこむ。彼女はそっと私に耳打ちした。
「気をつけてね」
驚いて哀ちゃんを見つめる。
しかし哀ちゃんはそれ以上はもう、何も喋る気はないようで、リビングを出て行ってしまった。
気をつけて、ねえ。
それって______沖矢さんに、ってこと?
「どうかしましたか、Aさん」
沖矢さんが私の顔を覗き込む。
「あ、いいえ。別に何でも。行きましょうか」
「ええ、そうですね」
沖矢さんが軽く眼鏡を押し上げる。
私達は博士にお礼を言って、トロピカルランドに向かった。
819人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
トリップしたらシルバーブレッドが敵だったなんて聞いてない3【名探偵コナン】
トリップしたらシルバーブレッドが敵だったなんて聞いてない4【名探偵コナン】
もっと見る
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそ - 沖矢さんにめっちゃキュンキュンされます…この作品を作って下さって本当にありがとうございます!!9も頑張ってください! (2018年2月12日 0時) (レス) id: f05c3c7162 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます!! 頑張って更新します! (2017年12月13日 7時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごく面白いです(*^-^*)続きが気になります!頑張って下さい!(*´∀`) (2017年12月12日 23時) (レス) id: 664152f9a6 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ムーンさん» 毎日読んでくださりありがとうございます!! 一位なんて嬉しい!! これからも頑張ります! (2017年12月9日 21時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 毎日毎日更新されたのを楽しみにしながら見てます!この作品今のところ私の好きな名探偵コナン夢小説1位です!!これからも続編頑張ってください! (2017年12月9日 20時) (レス) id: 257ddb25d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海星 | 作成日時:2017年12月6日 23時