検索窓
今日:56 hit、昨日:62 hit、合計:1,336,147 hit

story43 ページ4

工藤邸を出て、私が向かった先は毛利探偵事務所だ。
そう、あの見た目は子供頭脳は大人の名探偵の居候先である。

いきなり訪ねた私を毛利探偵は快く出迎え、お茶まで出してくれた。
今日は平日なので、コナン君も蘭ちゃんも学校に出かけて家にはいない。しぃん、と静かな事務所で時計の針の音だけが、古臭い音を紡いでいる。

アニメでよく知る事務所の風景に、今さらながらここが名探偵コナンの世界であるのだと実感した。

「で、本日はどのようなご依頼でしょうか?」

毛利探偵がキリッとした表情で、私を見つめる。

「実は依頼、というより毛利探偵に聞きたいことがありまして」

「ほう。聞きたいこと?」

興味深そうな目つきで、私の目の奥を探る毛利探偵は、私がイメージしていたおちゃらけた雰囲気より、もっと探偵らしいシビアな緊張感に溢れている。

「ええ。安室透さんについてなんですが」

予想外の名前と登場に驚いたのだろう。毛利探偵は目をぱちくりとさせた。

「安室……君についてですか」

「ええ。彼から、毛利探偵に弟子入りしていると聞きまして。それで彼のことについて毛利探偵からお話をお聞きしたくて」

「安室君のことねぇ……お話、と言われましてもね。具体的には?」

「実は、私、先日安室さんからプロポーズされまして」

嘘は言っていない。
好きだと言われたし。

「は!!!? ぷ、プロポーズうううう!?」

毛利探偵のあまりの驚きように、くすりと笑みがこぼれる。

「ええ。でも彼、探偵でしょ? だからかもしれないんですけど、時々すごく過去の事件について気にしている、というか……固執しているような気配を感じるんです。
私、プロポーズを受けてお付き合いするなら、彼のことをよく知っておきたいと思って、何か気がかりなことがあるのか、と聞いてみたんですが、はぐらかされてしまって。
だから、毛利探偵なら彼の過去に詳しいかもしれないと思って、こうやってお伺いに」

「なるほどねえ。過去の事件に固執、ですか」

「ええ。そういう素振りを見せたことはありませんか。何か、ある特定の人物のことについて、ひどく気にかけている、とか」

毛利探偵は私の言葉について、難しい顔でしばらく考え込んでいたが、やがてゆっくりと首を横にふった。

「そういうことは、なかったと思います」

「そうですか……」

まあ、そう簡単にいくわけはないか。
お礼を言って立ち上がりかけた時、はっとしたように毛利探偵が言った。

story44→←story42



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (390 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
816人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みそ - 沖矢さんにめっちゃキュンキュンされます…この作品を作って下さって本当にありがとうございます!!9も頑張ってください! (2018年2月12日 0時) (レス) id: f05c3c7162 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます!! 頑張って更新します! (2017年12月13日 7時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごく面白いです(*^-^*)続きが気になります!頑張って下さい!(*´∀`) (2017年12月12日 23時) (レス) id: 664152f9a6 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ムーンさん» 毎日読んでくださりありがとうございます!! 一位なんて嬉しい!! これからも頑張ります! (2017年12月9日 21時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 毎日毎日更新されたのを楽しみにしながら見てます!この作品今のところ私の好きな名探偵コナン夢小説1位です!!これからも続編頑張ってください! (2017年12月9日 20時) (レス) id: 257ddb25d6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:海星 | 作成日時:2017年12月6日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。