story43 ページ4
工藤邸を出て、私が向かった先は毛利探偵事務所だ。
そう、あの見た目は子供頭脳は大人の名探偵の居候先である。
いきなり訪ねた私を毛利探偵は快く出迎え、お茶まで出してくれた。
今日は平日なので、コナン君も蘭ちゃんも学校に出かけて家にはいない。しぃん、と静かな事務所で時計の針の音だけが、古臭い音を紡いでいる。
アニメでよく知る事務所の風景に、今さらながらここが名探偵コナンの世界であるのだと実感した。
「で、本日はどのようなご依頼でしょうか?」
毛利探偵がキリッとした表情で、私を見つめる。
「実は依頼、というより毛利探偵に聞きたいことがありまして」
「ほう。聞きたいこと?」
興味深そうな目つきで、私の目の奥を探る毛利探偵は、私がイメージしていたおちゃらけた雰囲気より、もっと探偵らしいシビアな緊張感に溢れている。
「ええ。安室透さんについてなんですが」
予想外の名前と登場に驚いたのだろう。毛利探偵は目をぱちくりとさせた。
「安室……君についてですか」
「ええ。彼から、毛利探偵に弟子入りしていると聞きまして。それで彼のことについて毛利探偵からお話をお聞きしたくて」
「安室君のことねぇ……お話、と言われましてもね。具体的には?」
「実は、私、先日安室さんからプロポーズされまして」
嘘は言っていない。
好きだと言われたし。
「は!!!? ぷ、プロポーズうううう!?」
毛利探偵のあまりの驚きように、くすりと笑みがこぼれる。
「ええ。でも彼、探偵でしょ? だからかもしれないんですけど、時々すごく過去の事件について気にしている、というか……固執しているような気配を感じるんです。
私、プロポーズを受けてお付き合いするなら、彼のことをよく知っておきたいと思って、何か気がかりなことがあるのか、と聞いてみたんですが、はぐらかされてしまって。
だから、毛利探偵なら彼の過去に詳しいかもしれないと思って、こうやってお伺いに」
「なるほどねえ。過去の事件に固執、ですか」
「ええ。そういう素振りを見せたことはありませんか。何か、ある特定の人物のことについて、ひどく気にかけている、とか」
毛利探偵は私の言葉について、難しい顔でしばらく考え込んでいたが、やがてゆっくりと首を横にふった。
「そういうことは、なかったと思います」
「そうですか……」
まあ、そう簡単にいくわけはないか。
お礼を言って立ち上がりかけた時、はっとしたように毛利探偵が言った。
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みそ - 沖矢さんにめっちゃキュンキュンされます…この作品を作って下さって本当にありがとうございます!!9も頑張ってください! (2018年2月12日 0時) (レス) id: f05c3c7162 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます!! 頑張って更新します! (2017年12月13日 7時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごく面白いです(*^-^*)続きが気になります!頑張って下さい!(*´∀`) (2017年12月12日 23時) (レス) id: 664152f9a6 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ムーンさん» 毎日読んでくださりありがとうございます!! 一位なんて嬉しい!! これからも頑張ります! (2017年12月9日 21時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 毎日毎日更新されたのを楽しみにしながら見てます!この作品今のところ私の好きな名探偵コナン夢小説1位です!!これからも続編頑張ってください! (2017年12月9日 20時) (レス) id: 257ddb25d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2017年12月6日 23時