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翌日、沖矢さんが来る前に米花ホテルをこっそり後にしようと計画した私だったが、予定時間より早めにホテルを出たら、沖矢さんがもうすでに車から降りて待っていた。
「予定よりお早いですね」
「沖矢さんこそ早いですね。何してるんですか?」
「友人が私との約束をすっぽかしてしまうような気がしてね。心配で来てしまいました」
「あら、沖矢さんにお友達なんていたんですねえ」
嫌味を言ったら、少し強い力で腕を引かれて車に乗せられた。拉致!!
「長かったホテル暮らしともお別れですね。不摂生な生活を改められますよ」
「今度は同居人のせいで不摂生になりそうですがね」
「今日のご予定は?」
私の皮肉を黙殺する沖矢さん。
「依頼の仕事をすすめるつもりです。あ、ついてこようなんて思わないでくださいね。沖矢さんには関係ないことですから」
「なるほど。ついて来てほしくないと言うなら、ついては行きませんよ。安心してください」
あれれ。意外だ。また口論が始まるだろうと予想していたのに。案外あっさりと身を引いた沖矢さんに不審さを感じつつ、諦めてくれるにこしたことはないので、余計なことは言わないでおく。
「沖矢さんは大学院生でしょ? 学校、大丈夫なんですか? 今日平日ですけど」
「私は家で論文をまとめていることが多いので、大丈夫ですよ」
「どうりで暇そうなんですね」
「……暇ではありませんよ」
「暇じゃない。私みたいな人間のこと嗅ぎ回ってるくせに」
「それも仕事のうち、なんでね」
私はちらりとこの余裕ぶった、年下の男を眺めた。
「学生のうちに、ちゃんと勉強していた方がいいですよ。大人になって苦労しますから」
沖矢さんが、少し面白そうなものを見つけた、というような顔で私を見る。
「苦労されたことがおありで?」
「ええ、まあね。だから大学生のうちに取れる資格なんかはきちんと取って、きちんとした会社に就職できるようにしといた方がいいですよ。じゃないと後から大変な思いをしますから」
「……なるほど。社会人の方が言うと重みがありますね。善処しましょう」
そう言って沖矢さんが、じっと私の顔を見つめていることに、私は気がつかなかった。
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みそ - 沖矢さんにめっちゃキュンキュンされます…この作品を作って下さって本当にありがとうございます!!9も頑張ってください! (2018年2月12日 0時) (レス) id: f05c3c7162 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます!! 頑張って更新します! (2017年12月13日 7時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごく面白いです(*^-^*)続きが気になります!頑張って下さい!(*´∀`) (2017年12月12日 23時) (レス) id: 664152f9a6 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ムーンさん» 毎日読んでくださりありがとうございます!! 一位なんて嬉しい!! これからも頑張ります! (2017年12月9日 21時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 毎日毎日更新されたのを楽しみにしながら見てます!この作品今のところ私の好きな名探偵コナン夢小説1位です!!これからも続編頑張ってください! (2017年12月9日 20時) (レス) id: 257ddb25d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2017年12月6日 23時