零と霊編10 ページ36
安室side
Aのホテルは外観のレトロな雰囲気に反して、中はかなりの安宿だった。
掃除もあまり行き届いていないし、何よりセキュリティが甘すぎる。フロントにも従業員は殆どいない。
……こんな所に住んでたのか。
知ってたらもっと安全な物件を探したのに。もっとセキュリティの整った場所に住んで欲しいと思う。
よし。このホテルは引き払うか。
Aが目覚めたら、強制的に違う場所に住まわせることにしよう。
俺はそう思って、風見にホテルにある荷物を、とりあえず安室透の自宅に送るように指示しておいた。
着替えをバッグに詰めて、その足でまた米花病院へ戻る。
病室のAの顔は無表情で、苦しいとか、痛いとか、辛いとか、そんな感情も読み取れない。まあ意識がないから当然のことだ。
ベッドの脇のパイプ椅子に腰掛けて、俺はホテルに置いてあったノートを取り出した。
以前、俺と毎日交わしていた「自己紹介」なるものを彼女が欠かさず書き留めたものだった。俺はもう一度それを開ける。
【○月×日】
今日は「好きな食べ物」。
安室さんはセロリが好きらしい。揶揄われてるのかな。安室さんがセロリ食べてるなんて、なんか笑っちゃう。
【○月△日】
今日は「趣味」
安室さんはボクシングをしてるらしい。道理でガタイがいいと思った!
【○月○日】
今日は「好きな場所」。
真面目な答えてって言ってるのに、笑って誤魔化す安室さん。
日本だったらどこでもいい、ってどういう意味だろ?
【○月◇日】
今日は「好きなタイプ」。
明るくて優しい子だって。意外と普通だ。
【○月…日】
今日は「行ってみたい場所」。
安室さんは落ち着く場所に行きたいそう。今後癒されるスポットを探しておこう。
2452人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時