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No.19 真実 ページ21
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「……ピエロ君！ ……ロ君！ …………君……」
誰かが必死に僕を呼んでいる
返答しようと口を動かそうとする
然し、声どころか口が動かない
霞んでいく意識
願い通りに死んでいけると考えると心残りが少しばかりあって悲しいものだ
最期は笑って欲しかったなぁ……
其処で意識は途絶えた
◇◆◇◆
目覚めると無垢な白い天井が僕を見下ろしていた
「お目覚めかい？」と女医が寝台の傍らで云う
「……はい」
「具合いは如何だい？」
手を額に当て乍ら云う
その瞳は何処か寂しげだった
「気持ち悪い……喉が焼けるように痛い」
「それは少し、
と笑ってカルテに書き込み
「ｳｯ! オェェエ……」
胃酸がこみ上げてくるような感覚が僕を襲う
「大丈夫かい！？」
「大丈夫です……まだ、異能力が上手く制御出来なくて……」
少し困った表情で女医は云った
「実は、その事なんだけど……」
「アンタは異能力者じゃないんだよ」
訳が判らない
じゃあ、今迄苦しめられて来たあの呪いはなんだったんだ？
「太宰が、アンタに触れていたのに倒れたよねぇ？」
「はい」
「太宰の異能力は『触れた能力を無効化』するからね。つまり……」
「異能力じゃ……ない」
女医は頷いた
「まぁ、ゆっくり頭を整理させな」
と云って部屋から出ていった
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作者名：女武将信長 | 作成日時：2017年4月11日 0時
